<広島4-6中日>◇7月31日◇マツダスタジアム

 菅野打ちは任せろ!

 広島は先発戸田が4点リードを守れず、4位中日に痛恨の逆転負けを喫した。7月を9勝11敗1分けで終え、2カ月連続で負け越した。一方でキラ・カアイフエ内野手(30)が復調を印象づける先制弾を放ち、ドラフト3位田中広輔内野手(25)も2安打で好調をキープする。今日1日からは3・5ゲーム差で追う首位巨人との3連戦(東京ドーム)。王者の初戦先発は菅野。強力左打者陣が満を持して襲いかかる。

 キラならではの弾丸ライナーだ。2回無死一塁、伊藤の初球。外角低めの直球をバットでつぶしにかかった。打球は低空飛行でバックスクリーン左の観客席にズドン。先制の10号2ランは圧巻の弾道だった。

 「いい形で振れた。真っすぐのタイミングに絞って、センター方向を意識してとらえられたね」

 昨季は6月に途中加入してチーム最多タイの14本塁打。豪快に引っ張って右翼席を軽々越していく大飛球の印象が強かった。内角球での勝負が多かったからだと言う。

 「去年もそうだったけど、今年もまずはセンター方向に打ち返すことを意識している。その中で去年は引っ張れるボールで勝負してきた。今年はどちらかというと外角、逃げるボールでの勝負が多い。でもそういう攻めにもしっかり対応するのが宿命だから」

 ならば外角球を強くたたくしかない。この日のフリ-打撃練習中には野村監督から直々にアドバイスをもらっていた。「今年は外攻めが多いけど、センター方向に打ち返すスタイルを変えてはダメだ。外角を狙っても必ず失投は来るんだから」。指揮官の言葉を誠実に受け止めた結果、後半戦9試合目での初アーチが飛び出した。

 ここまで得点圏打率2割0分9厘。不振による2軍降格も経験し、シーズン90試合でようやく2年連続2ケタ本塁打を達成した。

 「今この時期に10本というのは非常に少ない。自分としては受け入れ難い」

 今日1日からは敵地で首位巨人との3連戦を戦う。初戦の相手先発は右腕菅野。攻略に向け、背負う期待は大きい。逆襲への手ごたえをつかみ、主砲がいざ東上だ。【佐井陽介】