伸ばしたヒゲも残念?

 阪神ドラフト1位岩貞祐太投手(22)の甲子園デビューが持ち越しになった。2日のDeNA戦が雨天中止となり、メッセンジャーのスライド先発が決定。今日3日DeNA戦で先発する予定だった岩貞の1軍デビューは10日広島戦(京セラドーム大阪)が浮上してきた。甲子園ではないが、上位争い直接のライバルに注目の初投げだ。

 “身も心も”万全の状態だった岩貞の1軍デビューはお預けになった。甲子園のブルペンに入り調整。外に出ると雨が降る中、ダッシュを繰り返した。雨にぬれたドラフト1位左腕は「緊張しています。今まで野球をやってきた中でマックス。自分らしく変なことを考えずに、今までやってきた通りにやりたい」と緊張した表情で意気込みを話していた。

 最高の状態に合わせたのは体調やメンタル面だけではない。一生で1度のプロ初登板初先発に向け、チーム内で大流行しているヒゲを、あごに蓄えていた。

 「投げる2日前ぐらいからヒゲをそらないようにしているんです。きっかけは大学の時、そって打たれたからです」とあごに手を添えた。

 ヒゲに願いを-。低迷した6月、ゴメスとマートンが「願いがかなうまで伸ばす」と宣言。そろって得点に絡み、チームを引っ張ってきた。投手では岩田がヒゲを伸ばして勢いよく8勝をマーク。榎田まで“実践”すると、7月25日広島戦、1日DeNA戦と立て続けに勝ち投手となった。

 岩貞は阪神の先輩をまねたわけではなく、横浜商大時代に願掛けとして始めた。歴史ある登板前の「ヒゲそり禁止」だが、虎でのブームを思えば御利益を期待せずにはいられない。

 気になるそのヒゲ、すぐにそる必要はない。チャンスはまたやってくる。中止決定を受けて和田監督は「来週にもチャンスあるし、そこで逆算してどうするのかというのを投手コーチが考えてくれていると思う。岩貞にはいかせようと思っている」と話した。

 まずは2軍戦で調整登板することが濃厚だ。早ければ今日3日ウエスタン・リーグ、オリックス戦にも腕を振るう。待ちぼうけをくらった1軍デビューは、先発ローテーションが空白となる10日、京セラドーム大阪の広島戦か。ワイルドにヒゲをなびかせて、待ちわびた舞台に上がる。【宮崎えり子】

 ◆岩貞祐太(いわさだ・ゆうた)1991年(平3)9月5日、熊本県生まれ。必由館-横浜商大。入団後は2月のキャンプ中に左肘を痛めて戦線離脱。リハビリを経て、7月2日ウエスタン・リーグ中日戦で実戦復帰した。フレッシュ球宴、紅白戦を含めた5試合に登板し、同29日に1軍に合流。今日3日のデビューが予定されていた。182センチ、78キロ。左投げ左打ち。