阪神掛布雅之DC(59)が4日、都内イベントに参加した東京ドームで、今日5日ヤクルト戦(神宮)から始まる長期ロードを勝ち抜く鉄則を語った。首位巨人を追い越し、頂点に立つための重要な期間。ドラフト1位岩貞祐太投手(22)をキーマンに指名し、新戦力の台頭に期待した。下位のDeNA、ヤクルトにも警戒指令。難所を乗り越え、Vロードをすすめ!

 虎の命運を握る真夏のロードがいよいよ始まる。本拠地甲子園を高校球児に明け渡す25日間。かつて「死のロード」とも称された長期ロードを前に、掛布DCが口を開く。ズバリ、打倒巨人と逆転優勝の「2カ条」だ。

 <1>岩貞で流れを呼べ!

 8、9月は6連戦が絶え間なく続く。長期戦をたくましく乗り越えるためにもニューフェースの台頭が不可欠だ。掛布DCが指名したキーマンは、ともに鳴尾浜で汗を流し続けたドラ1左腕だ。「(先発の)岩貞、歳内の2枚は新しい顔。若い2人がハマったら面白い。岩貞は右打者への内のスライダー、角度のあるストレートはいいものを持っている。精神的にも大丈夫。舞い上がるタイプじゃない」と期待する。

 新戦力の出現を願うのはライバルの戦いを念頭に置くからだ。掛布DCは「東京ドームで2回ある。そこがポイント。『阿部の巨人』で勝つ形は去年までで分かっている。(開幕から)坂本、長野を中心として2、3年先を考えた戦い方を球宴までしていた。8月は阿部を4番に据えて2014年を勝ちにいく戦い方に切り替えた」と分析する。

 今季の原巨人は猫の目オーダーを組んだが、8月に入ると、4番阿部で固定。宿敵の本気モードをかぎとる。虎が巨大戦力に対抗するためにも、プラスアルファの戦力が活躍し、勢いをつけたい。岩貞は10日広島戦でプロ初先発予定。2軍戦で好調を維持しており、力量にも太鼓判を押す。

 <2>下位から取りこぼすな

 長期ロード直前の2カード(ヤクルト、DeNA戦)では顕著な傾向があった。2チームともV争いから後退し、進塁打などのチーム打撃より、思い切りのいい個々の打撃が目立っていた。掛布DCも「チームの野球から、個人の野球に転換する。自分の数字を伸ばす野球になる。去年のDeNAも終盤にガーッと来た。2チームと戦う怖さがある」と警戒する。7月31日ヤクルト戦は1-8で完敗した。強振するツバメ打線の脅威がその例だ。油断大敵で、足をすくわれてはいけないというわけだ。秋のゴールへ、試練の21番勝負を乗り越えろ!【酒井俊作】<阪神長期ロード>

 ◆日程

 4日に東京に移動し、5日からナイターでヤクルト戦。28日に東京ドームでナイターを行い、29日に甲子園に戻ってヤクルト戦を行うまで25日間で7カード、21試合。

 ◆成績

 最近10年間で勝ち越しは05、07、09、13年の4回。2年連続勝ち越しはない。計98勝101敗8分けで勝率4割9分2厘。

 ◆巨人戦2カード

 東京ドームでの巨人戦が2年連続2カード開催。ナゴヤドームでの中日戦は組まれず。12年以来2年ぶり。

 ◆京セラドーム大阪

 昨年は07年以来、6年ぶりに6連戦が組まれたが、今年は8日からの広島戦と19日からの中日戦の2カード。間に東京遠征(東京ドーム、横浜)を挟む。

 ◆移動距離

 大阪から東京、大阪、東京、横浜、大阪、広島、東京と移動する。総距離は3998・8キロ(JR駅起点)。8カードだった昨年(3941・2キロ)より長い。