<巨人3-4阪神>◇12日◇東京ドーム

 OH!

 モーレツ!

 阪神のストッパー呉昇桓(オ・スンファン)投手(32)が1点差の9回を3者連続三振で締めた。リーグトップを走る今季28セーブ目は、98年リベラを抜き球団助っ人では最多。夏だからって、ヒヤヒヤはいらない。

 痛快な奪三振ショーだった。点差はわずかに1点。迫られた9回のマウンドに呉昇桓が立った。

 「三振よりも1点差の展開の中で、塁にランナーを出さなかったことがよかった」

 代打石井には全球直球で勝負した。カウント1-2から内角高めへ150キロの直球を投げ込んだ。石井のバットはボール1個分下の空を切る。次のロペスはカットボールを織り交ぜて追い込み、締めは真ん中高めへの150キロ。石直球はバットにかすりもせず、鶴岡のミットに収まった。

 2アウト。呉昇桓は帽子を取り、額の汗を拭った。1番長野との対決。カウント1-2からの4球目、外角低めへカットボールを落として、最後も空振り三振に斬った。来日初の3者連続三振締め。1度もフェアゾーンにボールを飛ばすことなくKを並べた。

 マウンドでチームメートと勝利を分かち合った。6試合連続無失点。和田監督も「最後のスンファンが非常に気持ちの入った、本当にベンチも熱くするピッチングを見せてくれた。(救援3人に)もう、言うことなし」とたたえた。

 これで今季28セーブ目。球団の外国人としてはリベラの記録を抜いた。「やっているうちについてきた数字。自分のセーブよりチームの勝利。1試合1試合集中していくだけ」と記録には目もくれない。真夏の首位決戦。白熱する試合で呉昇桓がセーブを重ねる。【宮崎えり子】

 ▼阪神呉昇桓が28セーブ目を挙げ、98年リベラの27セーブを抜き、阪神外国人投手の年間セーブ球団新記録となった。1年目投手のプロ野球最多は00年ギャラード(中日)11年サファテ(広島)の35セーブ。また28セーブは10年藤川球児に並びシーズンセーブ数で球団4位。