<広島12-2巨人>◇16日◇マツダスタジアム
広島のルーキー右腕、大瀬良大地投手(23)が久しぶりの勝利に酔った。前日15日にエース前田で落として連敗が許されない中、巨人打線を先発で6回4安打2失点に抑えて、6月21日以来、7戦ぶりとなる7勝目。復調をアピールし、リーグ新人王争いの有力候補に軌道修正した。打線も爆発して12得点の圧勝。再び首位巨人とのゲーム差を4に戻した。
悪夢に何度うなされたか。大瀬良は雄たけびで鬱憤(うっぷん)を晴らした。「気持ちを押し殺すと、自分らしさがなくなるので」。1点差に迫られた6回2死一、二塁、6番村田をカットボールで空振り三振に仕留め、「よっしゃ回った!!」。右拳を突き上げた。
首位巨人に今季最大タイの5ゲーム差とされ、崖っぷちで迎えた直接対決2戦目。直球狙いの雰囲気を感じ取り、カットボール主体でコースを突いた。6回4安打2失点。約2カ月ぶりの白星となる7勝目だ。
前回勝ち星を挙げた6月21日の日本ハム戦は5回4失点。納得のいく白星は5月16日巨人戦の5勝目(8回2失点)までさかのぼる。苦悩の3カ月間。人知れず、不眠に苦しんだ。
「こんなの人生で初めて。思わず携帯で腕の写真を撮ってしまいましたよ」
8連敗で迎えた6月14日ロッテ戦の前夜、1時間ごとにかゆみで目が覚めた。「絶対に連敗を止めないと」。気がつくと、体中が赤い発疹で埋まっていた。ストレスから来る「じんましん」。6月以降は毎回のように登板前夜に体が赤く染まるようになった。
予兆はあった。初完投した5月1日阪神戦の前夜、実は一睡もできなかった。「明日負けたら首位陥落か、と考えてしまって…」。プレッシャーが体をむしばみ、10時間睡眠を心掛けていた登板前夜は、毎回眠れないようになった。
5月24日オリックス戦で4回8失点と炎上すると、同31日楽天戦の前夜、“引退”がチラつくほど追い込まれた。「打たれた時の映像が頭によみがえってきて。また打たれたら野球やめないといけないな…」。心の異変は発疹という形で体に現れた。それでも公の場では表情を笑顔で固めた。
「悩んだ分だけ成長できると信じてますから」
マツダスタジアムで登板後は真っ暗の中、ポール間ダッシュを続けた。左肩が開き、肘が下がる悪癖を何度も修正した。「歩く時も足の外側に重心がかかってないかチェックして」。努力はようやく白星に結びついた。「やっとですね」。携帯に保存した真っ赤な腕の画像。いずれ笑い飛ばせる日が来る。【佐井陽介】



