<楽天5-12ロッテ>◇16日◇コボスタ宮城

 前夜のヒーローが試練に見舞われた。楽天は手痛いミスでロッテに勝ち越され、敗れた。3-3の4回2死満塁で、片山博視投手(27)が角中に投じた2球目を、小関翔太捕手(22)が捕逸。ボールがファウルゾーンを転がる間に2走者の生還を許した。小関は、その裏の打席で代打を送られた。初のお立ち台に上がった翌日の屈辱となった。チームは再び、自力CS進出が消えた。

 ボールは無情にも、勢いよく跳ねていった。3-3の4回表2死満塁。片山がロッテ角中に投じた2球目は、小関の予想外のところへ来た。外角低めにミットを構え、スライダーを要求したが、真ん中高めへ直球を投げられた。反応が間に合わなかった。球審のマスクに当たり、三塁側ベンチの方へ転がった。小関は懸命に追い掛けたが、三塁走者に続き、二塁走者まで生還。勝ち越された。

 「サインミスです。僕もあやふやで…」。片山がサインを勘違いした可能性もあるが、捕手としての責任を負った。前日は先制打を含む適時打2本を放ち、守っては則本をリード。1安打完封の準完全試合に貢献した。初めてお立ち台にも上がったが、翌日に真逆の立場へ突き落とされた。4回裏の打席で代打を送られた。味方の大敗をベンチで見守るしかなかった。

 プロ5年目の今季、念願の1軍デビューを果たした。正捕手には嶋という高い壁がいるが、チームは最下位。経験を積ませたい首脳陣の意図があり、出場機会が増えている。試合前、三輪バッテリーコーチは「小関は、まだ怖さを知らない。どんどん、経験させたい」と言った。この日で自身初の4試合連続スタメンマスクだったが、緊迫した場面でサインミスという苦い経験を味わった。

 交代の理由は捕逸だけではない。4回は4連打を含む6安打を打たれた。打たれ出すと止まらなくなった。星野監督は「キャッチャーは(投手が)則本と同じコントロール、スピードがあると錯覚したんじゃないか。そこが若いのかな」と、不安定な投手をリードしきれない小関の責任を指摘した。途中交代の屈辱を、どう受け止めるか。小関は「僕がミスをした。しょうがないです。(捕逸した)あそこの場面で決められたので」と言って、すぐに映像室へ走り、サインミスの場面を確認した。糧とできるか。これからにかかっている。【古川真弥】