<西武3-3日本ハム>◇17日◇西武ドーム

 日本ハム大谷翔平投手(20)がプロ入り最多149球の力投実らず、4試合連続で2桁白星はお預けになった。西武戦に先発し、1回に中村に先制3ランを浴びる苦しい立ち上がりも奮起。2回以降は再三ピンチをしのぎ、無失点で切り抜けた。7回を自身ワースト8四球の大乱調も4安打、6奪三振。100球を超えた6回以降に、この日最速159キロを連発する力業を見せた。奮闘に応えてチームは2試合連続引き分け。大谷の10勝挑戦は、また次回へ仕切り直しになった。

 バッサリと斬った。投打「二刀流」を続ける大谷らしい言葉で、自身を断罪した。「全然ダメ。今日くらいの投球だと、(味方に)点も入らない。僕が野手でも、守りたくない投手」。自己ワーストの8与四球。7回を投げ、3者凡退は1度もなかった。

 たった1球が、勝負を左右した。制球が定まらずに迎えた、1回1死一、二塁のピンチ。もっとも警戒する4番中村への2球目、129キロのスライダーが真ん中に入った。「甘かった」。打球はあっという間に、左翼スタンドへ。一挙に失った3点は、この日唯一の失点だった。

 奪三振の最大の武器・フォークを失った。1回栗山への2球目がすっぽ抜けて暴投になると、2回秋山の打席でも、引っかけて暴投。決め球を“捨てた”。ここから降板するまでの5イニングで、フォークを使ったのはわずか2球のみだった。

 制球が乱れた原因のひとつに、マウンドの傾斜があった。西武ドームは今カード前に、傾斜角を微調整していた。15日の初戦に登板したメンドーサが訴え、西武側に確認したことで発覚したという。3戦で与四死球は28。対応が難しかったのは事実だが、条件は両軍同じ(西武の与四死球も22)。大谷も「それは言い訳にならない。話にもならなかった」と吐き捨てた。

 だがそれでも、2回以降は「0」を並べた。「ずっといくつもりでした。尻上がりはいつもなので」。蒸し暑い西武ドームで、自己最多の149球の熱投。6度マークした159キロは、すべてが100球を超えた6、7回に集中していた。12日ロッテ戦で6号本塁打を放ったにもかかわらず、以降は野手での出番が与えられなかった。「そのストレスをマウンドに向けてほしかった」という、栗山監督の意図。飢えた獣のごとく、闘争心全開でマウンドに君臨した。

 7月16日の西武戦で挙げた9勝目を最後に、2桁勝利目前で4度目の足踏み。「切り替えて、やりたいです」。短い言葉に、リベンジへの思いを込めた。【本間翼】