<阪神5-4中日>◇21日◇京セラドーム大阪

 巨人が粘って首位には立てなかったけど、力強い逆転勝ちで貯金10の壁は突破した。頼りになるのは、阪神マウロ・ゴメス内野手(29)とマット・マートン外野手(32)の最強コンビだ。同点の3回、連続適時打を決めて中日を突き放した。ゴメスは7月11日巨人戦以来となるV打。最後は1点差をしのいでの4連勝。勢いに乗って3位広島の待つマツダスタジアムに乗り込むぞ!

 ゴメスの太い腕がぐいっと伸びた。追い込まれてからの外角低め変化球。積み上げる122三振のお決まりパターンだった。首位がはっきりと見えてくるこの場面は違った。体勢を崩しながらバットですくった。同点の3回無死二、三塁。ハーフライナーがレフト線にポトリと落ちた。

 「いいところに落ちてくれて良かった。前の打席で打ち取られていたから、チャンスだったし絶対に打ちたかったんだ」

 直前では無死一塁で鳥谷のゴロを遊撃エルナンデスが二塁へ悪送球。前夜の決勝点に続いて、また相手がぐらついた。4番が三振すれば押せ押せムードもしぼむところで、7月11日巨人戦以来となる勝ち越しV打で仕事を果たした。一塁ベース上で膝に手をつくと、マウンドに集まる中日ナインを見つめた。歓喜の六甲おろしがBGMだった。

 打ちたい理由があった。視線の先は同じドミニカ共和国出身の右腕カブレラ。ウインターリーグ、エスコヒドで一緒にプレーした仲だった。「ドミニカ(共和国)では有名だよ」と話すものの、対戦経験はなし。初対決の舞台は日本で巡ってきた。昨オフの入団決定後、球団から送られてきたDVDで日本の投手をチェックした。映像の名前は日本語。「中日のカブレラしか分からなかったよ」と唯一存在を意識できた相手がマウンドにいた。待ちわびた戦いで値千金の快音を響かせた。

 マートンが乗った。なおも続く一、三塁のチャンス。マウンドで間をとったカブレラをリフレッシュさせなかった。三遊間を破る強烈な適時打。「若いピッチャーが頑張っているから1点でも多く取ってあげたい気持ちでした」。GM砲による2点が、プロ初先発金田の背中を押した。

 4連勝で、ついに貯金を今季初の「10」まで積み上げた。和田監督も「いい野球ができていると思う。乗っていくのもあるし、勝つために力を付けていくチームなので接戦を取るのが大きいね」と手ごたえを隠さない。GM砲は2人合わせてなんと149打点。外国人野手コンビとして球団5位の150打点(92年のパチョレック、オマリー)にあと1と迫った。頼もしい助っ人主軸がいる好調猛虎打線。次なるターゲットは3位広島だ。【松本航】

 ▼ゴメスが今季85打点目、マートンが64打点目をマークし、阪神の外国人野手の合計打点が球団6位の149となった。年間144試合換算では196打点ペース。過去最多は10年の208打点(ブラゼル117、マートン91)だが、ブラゼルは08年西武に在籍。阪神で日本球界デビューした外国人2人による最多は、76年の173打点(ブリーデン92、ラインバック81)で、球団史上最高の「純正外国人コンビ」となる勢いだ。