<日本ハム9-5楽天>◇21日◇札幌ドーム

 日本ハムの“新レジェンド”が躍動した。野手で7試合ぶり出場の大谷翔平投手(20)が、12日ロッテ戦に続く野手出場2試合連続の複数安打をマークした。2回に楽天辛島から逆転の突破口となる右前打、4回には7点目となる適時二塁打を放った。「レジェンドシリーズ2014」と銘打った企画が始まり、復刻版ユニホームの二刀流・大谷が、5日以来の貯金1に貢献した。

 オレンジよりも、才能がまぶしい。大谷が、はじけた。弱小だった時代の復刻ユニホームをまとう「レジェンドシリーズ」の対象試合の初戦。暗黒時代の記憶を塗り替えるような快勝へ導いた。16日ぶりの貯金1へ導く、価値ある2安打を奏でた。

 要所で効き、勝負を決める2度のビッグイニングを仕立てた。2点を追う展開になった直後の2回、先頭打者。左腕の辛島の外角スライダー。体勢を崩しながら、バットの先で拾った。高難度の右前打で反撃の起点をつくり、打線を乗せた。3本の適時打で一挙4点で、ひっくり返した。

 大谷

 フルカウントだったので四球でも(塁に)出られればと思っていた。ボール球でしたけれど食らいついていけた。

 4回2死一、三塁からは再現VTRのようだった。スライダーに体を泳がされながら、今度は真芯で捉えた。右腕1本で振り抜き、右越え適時二塁打。この回は5点。今季13度目のマルチ(複数)安打。2度の猛攻で主役は張れずも、立役者の1人になった。

 異業種のカリスマの目をひんむき、ビックリ仰天させた。イベントでゲスト登場したのがプロレス団体W-1の社長でプロレスラー武藤敬司(51)。中学時代に一時、野球経験もあり「レジェンド」の称号も持つ格闘技界の重鎮が、うなった。初めてポテンシャルを目の当たりにし興奮した。

 武藤

 ミートはイチロー並みにすごい。パワーのあるイチローみたい。投手と打者、プロレスの「三刀流」をやってくれないかな。ひんしゅくを買うかもしれないけれど。顔もかわいいし、体はデカイけれど顔はオレの半分くらいしかないしね。

 一流は一流を知る。ルックス的なスター性も含め、奇想天外な「スカウト」が届くほどの魅力を放った。重い球団史が変わった近年を際だたせるシンボルになった。11年間でBクラス7度のオレンジ基調の戦闘服は「入団する時にチラッと。(球団の)講義で」とリアルなイメージが沸かない20歳。「新レジェンド」を紡いでいき、新時代を開いていく。【高山通史】

 ◆レジェンドシリーズ2014の復刻ユニホーム

 オレンジと黄色のポップなカラーリングで、82~92年まで11年間着用した。この期間は82年のリーグ2位が最高成績。

 ◆オレンジユニホーム時代(82~92年)の背番号11

 82年は、78年から着用していた下手投げ右腕の石井邦彦。83年から5年間は、84年に球宴出場した右腕田中富生がつけていた。88~92年は、後に監督も務めた大島康徳で、ユニホームが代わった94年まで着用した。