<阪神5-4中日>◇21日◇京セラドーム大阪
ありがとう鹿児島!
大隅半島で生まれ育った新旧トラ戦士が勝利のヒーローになった。プロ2年目で初先発の金田和之投手(23)が5回2失点と奮闘し、先発初勝利を挙げた。同郷福留が2回に同点5号2ランを右翼5階席下に運び強力援護。大和は8回、ダイビングキャッチで1点差逃げ切りを演出した。これだけ役者がそろえば、優勝もおー墨付きでごわす!
金田からようやく笑みがこぼれた。9回2死一塁。地元・鹿児島の先輩、福留のグラブに最終打者谷の打球が収まった瞬間だった。ベンチ前で呉昇桓からウイニングボールを受け取ると喜びをかみしめた。
「初回は緊張してしまい、球が浮いてしまった。2回以降は感覚をつかめて、コーナーへ投げることができました。(先発を)任されたという意味でその試合が勝ててよかったです」
初めて上がる真っさらなマウンドは、緊張から始まった。初回1死二塁。ルナに甘く入ったフォークを左翼スタンドまで運ばれた。中日ファンが沸く着弾点をぼうぜんと見続けた。ずっと立ちたかった先発のマウンド。ここで倒れるわけにいかなかった。「打たれたらいけない本塁打だったけど、落ち着きました」。2回以降は被安打1。コーナーを突き、5回までで6三振を奪った。
開幕1軍を手にしたプロ2年目。リリーフ陣に定着しつつあったが、5月6日に再調整で出場選手登録を抹消された。本来の力強い投球を取り戻すため、鳴尾浜で約1カ月間汗を流した。ある時、湯舟2軍投手コーチから福原と安藤の投球の連続写真を見せてもらった。
「福原さんの高め直球で空振りが取れる投球も憧れますし、安藤さんみたいにアウトロー、アウトローと攻めて打ち取る投球も理想なんです」。ブルペンで触れたベテラン中継ぎ右腕に羨望(せんぼう)のまなざしを送っていた。さらに2人を深く研究した。「2人を合わせたような投手になりたい」と理想を追い求めた。崩れていたフォームを修正し1軍復帰すると、自己最速を更新する150キロをマーク。中継ぎでの登板数は増え、32試合を数えていた。
持ち味の真っすぐで押したマウンドの次は、プロ初のお立ち台。心強い福留が一緒だった。「福留さん、ありがとうございます」。攻守で援護してくれた先輩に感謝を述べた。ローテーションの谷間をがっちりと埋め、今後は中継ぎに戻ることが濃厚ながら、和田監督は「投手コーチと相談してから。うれしい悩み」とこぼした。先発ローテ候補にも挙がる活躍。2年目右腕が逆転優勝の救世主になる。【宮崎えり子】
◆金田和之(かねだ・かずゆき)1990年(平2)9月18日、鹿児島県生まれ。都城商-大院大。関西6大学リーグで6試合連続完封。12年ドラフト5位。1年目は1軍昇格するも登板なし。2軍で17試合1勝4敗、防御率3・68。今季は中継ぎとして1軍で32試合に登板していた。184センチ、81キロ。右投げ右打ち。
▼金田がプロ初先発で勝利。阪神では岩崎が4月2日中日戦(京セラドーム大阪)で記録して以来今季2人目。同一年にプロ初先発勝利投手2人は04年の三東洋(8月22日ヤクルト戦)、筒井和也(10月7日横浜戦)以来チーム10年ぶり。



