<広島12-6ヤクルト>◇26日◇マツダスタジアム

 速攻の大逆転劇だ。広島が虎のしっぽを捕まえた。2点を追う1回裏、6番梵英心内野手(33)の勝ち越し打など3四球2暴投に5安打を絡めて7得点。一気に試合の大勢を決めた。3点差に迫られた7回には代打小窪哲也内野手(29)が3点二塁打を放ち、勝負あり。2位阪神に0・5ゲーム差まで迫り、今日27日に2位返り咲きを狙う。

 仲間を信じて欲張らない。四球で1人相撲を続けるヤクルト木谷に対し、カープは丁寧に逆転劇を決めた。2点を追う1回裏、先頭から2四球と1安打で無死満塁。4番ロサリオは真ん中のフォークをコンパクトにとらえ、ライナーで左前2点打を弾ませた。

 あっさり試合を振り出しに戻し、なおも無死満塁。6番梵は初球の外角低めスライダーをセンター返しだ。「打線の流れで打たせてもらいました。とにかく点が入って良かった」。選手会長がミートに徹し、投手強襲の勝ち越し打を記録。勢いづいた打線は1人1人がコンパクトに振り抜き、この回3四球2暴投に5安打を絡めて7点を奪った。コツコツつないで得点を重ねた流れに意味があった。

 8月26日。この日もマツダスタジアムの年間指定席4席は4人の子供で埋まっていた。梵は今年4月から「6」がつく日の本拠地ゲームに、病気を抱えて入院している子供たち4人を招待している。

 「僕も子供を持つ1人の親なので、いろいろな思いがある。なかなか家族で来られない子供たちもいる。早く元気になってもらいたいので」。梵自身も自宅に戻れば1男1女のパパ。1人の父親として、1人のプロ野球選手として、この日も子供たちに笑顔をプレゼントした。

 3点差に迫られた7回2死では左翼線二塁打を決め、代打小窪の勝負を決める左越え3点二塁打をお膳立て。すべてが得点に絡む3安打を記録し、「たまには猛打賞もいいかなと思いました」と照れ笑いした。

 本拠地のある広島市は土砂災害に見舞われ、多数の犠牲者、行方不明者が出ている。今も救助活動は続いており、チームとしても義援金などの形で支援を続けている。

 「今、広島はつらい状況ですが、僕たちも頑張って元気なプレーで盛り上げていきたい」。2位阪神とは0・5ゲーム差。選手会長は「1番上を目指してやるだけ」と力を込めた。【佐井陽介】