<巨人4-5阪神>◇27日◇東京ドーム

 巨人が誇るゲーム終盤の番人が、阪神が誇るクリーンアップに屈した。

 山口鉄也投手(30)は3番の技術に屈した。2点リードの8回。無死一、二塁で鳥谷だった。2球目のスライダーに、バットの軌道を合わされた。右中間突破の適時二塁打で1点差とされ、なお二、三塁。逃げ切り構想は暗転した。ゴメスに2ボールとなり、原辰徳監督(56)がベンチを出て状況を整理。歩かせ無死満塁で首位打者のマートン…の状況が出来た。併殺打の間に追い付かれ、延長10回はスコット・マシソン投手(30)が、4番のパワーに屈した。

 1死一塁、ゴメスも2球目だった。超ヘビー級の力比べ、軍配は相手だった。左翼席の最上部に決勝2ランを放り込まれた。マシソンは「浮いた失投。投げ急いで、左肩が開いた。非常に悔しい。明日投げて、リベンジしたい」。山口は「実力不足。いつもと変わらないつもりだが、制球が甘い。明日、切り替えて」とそれぞれ反省した。

 3番鳥谷、4番ゴメス、5番マートン。つなぎも決めもできる。阪神の中軸は、現在の球界で最も手ごわい部類に入る。一方で、上下を挟む打線とのギャップも、現在の球界で最も大きい部類に入る。この差を利用しない手はない。中軸の前後を徹頭徹尾、抑えれば大けがはしない。

 8回の山口は、先頭の1番上本に根負けの四球を与え、続く今成への初球、死球を与えた。被安打なしの無死一、二塁が実にもったいなかった。マシソンは先頭今成を簡単に抑えた。「この先のだれかで、アウト2個を奪えば」の状況を作っただけに、これまた実にもったいなかった。中前打された鳥谷への初球も、ゴメスへの2球目もベルトから上。145キロ前後の直球だった。

 山口もマシソンも本調子ではなかった。彼らとて生身の人間。ならば大局を見て、石橋をたたいて渡ればいい。2人だからこそ可能なはずだ。【宮下敬至】