<西武5-2オリックス>◇29日◇西武ドーム

 打てる捕手になりたい-。西武森友哉捕手(19)がオリックス戦で本拠地初スタメンマスクをかぶり、攻守で勝利に貢献した。自らと同じく、かつて高校時代に甲子園を沸かせた先発菊池雄星投手(23)とヤングバッテリーを結成。先輩左腕を好リードでもり立てて、今季4勝目へと導いた。バットでも2回に先制適時二塁打、5回には逆転のビッグイニングを演出する左前打と、プロ初のマルチ安打をマーク。チームの将来を担う背番号10が躍動した。

 マウンド上でのハイタッチが至福の時間だった。西武森が9回まで扇の要を守り続けた。捕手として初のフルイニング出場を白星で飾り、「最後まで試合に出させてもらったことと、勝ったことが一番うれしい。1イニング1イニング集中して、ただ勝ちたいとだけ思っていた。いい試合だったなと思います」。汗だくのルーキーが胸を張った。

 自身が理想とする最終形に1歩、踏み出した。先発菊池をリードする一方で、自慢の打撃が光った。2回1死二塁。オリックス西の甘く入ったチェンジアップを捉えた。右中間フェンス直撃の先制適時二塁打で主導権を奪った。さらに、逆転を許した直後の5回には先頭打者で、左前打で出塁しチャンスメーク。初のマルチ安打をマークするとともに、攻撃の起点として、この回一挙4得点で再逆転に成功した。「打撃が自分を助けたというか、少し(守備で)気が楽になったというのはあります」と実感できた。

 8月14日オリックス戦でのプロ初本塁打から3戦連続弾で、前評判通りの実力を証明した。巨人阿部の名前を挙げ「打てる捕手になりたい」が思い描く将来像だ。7月27日に1軍に初昇格したが3戦連続で出番なし。ベンチを温める日々に「自分はまだまだというのは分かっている。だから試合で使ってもらうためには打つしかないと思っていた。絶対打ってやる。それだけでした」。心中は悔しさが支配した。

 負けん気と反骨心がプロ初打席初安打も、3戦連続弾も実現させた。初スタメンマスクを任せられた1日楽天戦は2打数無安打で途中交代を命じられた。むろん、リードもさえなかった。この日は違う。4回1死一塁で4番ペーニャの2球目に安達の二盗を阻止。初めて盗塁も刺し、バットが捕手としてのプレーすべてに好影響をもたらした。8回2死二塁の第4打席は敬遠で歩かされ、「ヒットが打てればダメ押しになるので打ちたかった」。末恐ろしい19歳の「打てる捕手」として、存在感が着実に浸透してきた。【為田聡史】