<中日0-2広島>◇30日◇ナゴヤドーム

 逆転Vへ、救世主誕生じゃ!

 広島新助っ人右腕のデュアンテ・ヒース投手(29)が中日を7回途中無失点に封じ込め、来日2戦目で初勝利を挙げた。6回1/3で4四球を与えたが、被安打3でゼロ封。2戦連続の好投で先発ローテの座をガッチリつかんだ。チームは阪神と入れ替わり、2位に浮上した。首位巨人まで2ゲーム差に肉薄した。

 ヒースの好投をねぎらうため、野村監督が小走りでマウンドに向かった。2点リードの7回1死二塁、降板を告げられた直後のことだ。投手コーチではなく、米国流に指揮官が自ら交代を告げに行った。「よくやってくれた」。2人は勢いよくグータッチを交わした。

 立ち上がりから、最速149キロの直球がゾーンの低めギリギリに伸びる。スライダー、チェンジアップ、カーブの制球も安定していた。6回1/3で4四球を与えながら3安打無失点。来日初勝利をゲットし、「非常に気分がいいよ」と満面の笑みを浮かべた。

 来日直後、軽めのキャッチボールで大瀬良を驚かせた。「横から見てもボールがまったく落ちてこない。伸びがすごい!」。6回、先頭の4番平田を外角低め148キロで空振り三振に仕留めた際、中途半端なスイングに終わった平田は伸びに驚いたような表情だった。

 「マウンドで自分に言い聞かせるんだ。試合は英語でゲームというように、これはゲームなんだってね」

 リラックスを心掛けている。この日も球場に向かう前、メリッサ夫人(27)と4歳の長女リリアンちゃん、1歳の長男デュアンテJr君とマクドナルドへ。普段通り、チキンナゲットとフライドポテトを頬張った。「マウンドでも普通に振る舞うようにしているよ」。常に自然体を貫けるスタイルが頼もしい。

 もともと日本食が好物。来日した7月26日は広島駅に到着すると、すぐさま天丼に舌鼓を打った。8月15日に来日した家族はもう、自転車で広島の街を探索している。「家族と一緒に出ることもあるよ。ヤキニクに行ったり、モールに行ったり…」。家族全員で異国の地に順応するつもりだ。

 愛妻と子供2人が見守る中、最高の形で記念日を迎えた。ウイニングボールは故郷アトランタで暮らす母グレースさんに贈る。登板2試合で防御率0・73。今日31日に1軍再登録されるバリントンと入れ替わりで2軍に戻る可能性もあったが、先発ローテの座をガッチリつかんだ。23年ぶりのV奪回へ、救世主に名乗りを上げた。【佐井陽介】

 ◆デュアンテ・ヒース

 1985年8月28日、米ジョージア州アトランタ生まれ。06年にドラフト19巡目でブレーブスに指名され、10年にホワイトソックス移籍。メジャー通算8試合0勝0敗、防御率10・24。マイナー通算243試合で36勝36敗、防御率3・77。今年7月に広島入団。年俸は約2290万円プラス出来高。背番号70。愛称は「ビッグD」。193センチ、109キロ。右投げ右打ち。