<楽天9-4ソフトバンク>◇30日◇コボスタ宮城

 ソフトバンクが大逆転負けならぬ「逆転大負け」を食らった。7回の表と裏でスコアは2-1から2-9。打つ手が空転した秋山幸二監督(52)はあえて淡々とした口調に努めた。「中田に頑張ってほしかった。止まらなかったな。13はないだろう」。楽天に許した打者13人の猛攻にがっかりだった。

 逆転した直後だから悔いが残る。7回。中田が松井稼に同点打を浴びて降板。この誤算はほんの序章だった。「左殺し」の森福が左打者の藤田、岡島に連打で1死満塁とする緊急事態。ここでルーキー森唯斗投手(22)がプロ入り初の4日連続登板で火消しに向かった。前日から首脳陣に「明日もいきます」と直訴しての男気マウンドも、ジョーンズに押し出し四球、銀次に2点適時打を食らって1死も取れずベンチへ追い返された。

 すでに降板した中田、森福、森の3人はベンチで直立してマウンドの金無英に声をかけるが、思いは届かない。終わってみれば四球を挟んで6連打を含む8安打。スコアボードに致命的な「8」の文字が浮かんだ。敗戦投手の中田とともに森も自分の仕事を責めた。「四球がだめ。あそこを抑えないといけない。反省して切り替えたい。せっかく出してもらっているし、抑えないと」と唇をかんだ。

 2位オリックスと再び1・5ゲーム差。それでも9回は2点を返し、なおも1死満塁まで追い詰めた。星野監督に「消えたよ、8点が。気分が悪い」と言わしめた攻撃で、首位の意地はぶつけた。大切なのは大敗の次のゲームである。【押谷謙爾】