逆転Vへのシナリオが完成、主役は左腕エース能見だ!

 今季最後の巨人戦となる11日甲子園に阪神能見篤史投手(35)が登板することが1日、濃厚となった。3カードぶりの巨人戦先発の後も、9月は中5日でのフル回転が予想される。まずは今日2日から5・5ゲーム差と迫る4位DeNAを退けながら上位2チームに接近。2・5ゲーム差逆転の仕上げは、エース左腕に託された。

 若さでもパワーでもなく、称号にかけた。先発能見を外した8月の巨人戦2カードは、メッセンジャー、岩田、藤浪を立てて2勝4敗に終わった。逆転優勝に向けたローテーション再編は、しかし、結果が根拠ではない。中西投手コーチが「最後はエースにかけてみたい気持ちがある」と語ったように、対巨人戦18勝14敗を誇る能見のプライドにかけたもの。前後の登板も間隔を大きく変えることなく、中5日でどっしり中心に座る能見優先ローテが組まれた。

 ラストG倒の刺客に指名された能見は、いつもと変わらぬ表情で淡々と汗を流した。投手指名練習が行われた甲子園新室内練習場でロングダッシュや打撃練習を入念にこなした。5日中日戦、その先にある巨人戦へ向け、準備に余念がなかった。優勝への思いが強いからだろう、巨人を特別視していなかった。全試合を「平等に」にらんでいた。

 「序盤に抑えられているのはいい方向にいっている。(登板日は)知らない。巨人だけじゃなくて、これからは全部大事だから」

 復調の気配も漂う。ここ4試合は2勝1敗ながら、計28回で自責点7。悪夢の6連敗を脱してからは、両コーナーへの直球と低めフォークのコンビネーションを決めている。中西投手コーチも「状態はよくなっている。(8回2失点だった)広島戦が一番、らしかったな」と背中を押す。すでに自己ワーストの11敗を喫しているが、能見の調子とともにチームも上昇していくはずだ。

 チームも能見も、本気で視界には優勝しかない。まずは5日、ナゴヤドームでの竜斬りに照準を合わせる。あと2つに迫っている通算1000奪三振も一気に突破。その後も中5日でフル回転し、巨人、ヤクルトを仕留めにかかる。巨人戦を外れた藤浪も、中日、広島、中日とのマッチアップが組まれ、結果的に投手陣全体が好相性に恵まれる形になった。

 自身の連敗中も能見は「チームが勝てばいい」と口癖のように話してきた。チーム一丸、投手陣一丸となって戦う勝負の9月戦線。悲願だけを見据える逆転ロードの行く末は14番に託された。

 ◆今季の巨人対策ローテーション

 開幕カードはGキラーの能見、昨季相性のよかった榎田に加え、昨季中継ぎで1試合の対戦だけだったメッセンジャーを投入。榎田が早々にローテから離脱すると、7月に好調岩田を投入した。メッセンジャーが4勝を挙げる一方で、能見が1勝4敗と苦しむと、8月にはまたしても再編。昨季東京ドームで1戦1勝の藤浪を組み込んだ。