パイオニアを目指す至宝に、正真正銘のパイオニア魂で向き合う。日本ハム栗山英樹監督(53)が1日、北海道に先住したアイヌ民族をモチーフに、大谷の投手起用を実践する考えを明かした。明日2日楽天戦(札幌ドーム)に登板間隔、中7日で先発。通常より1日、休養日を与えて万全の状態で投入するのが狙いだ。指揮官の思惑を「言っていない。それで分かってほしい」とあえて伝えていないが、無言のメッセージを込めた。

 以心伝心の重要性をこの日、痛感した。オフを利用して札幌市内の札幌大で「アイヌ語にチャレンジ!

 with栗山監督」と銘打った特別講義に、ゲスト受講生で出席。今季のチームスローガンにアイヌ語を採用したことで実現した。アイヌ民族は言語が少ないとされ、現代社会より言葉に頼らずに文化を発展させ、生活を営んでいたという。「野球でも、我々が目指していけばいい」と、理想のチーム像とした。

 今回の登板感覚の微調整も栗山監督ら首脳陣が戦略を練り、大谷には意図の詳細を説明せずに決めた。野手出場も可能だった8月31日ロッテ戦も先発から外し、代打出場のみで投手としてのコンディション面の整備を優先させた。言葉がなくとも分かり、かつ使命感をあおるための操縦法。尊敬するアイヌ文化を踏襲するような策を、栗山監督は「いい準備をして(試合に)入ってくれ、というお願い」と真意の一端を明かした。北海道を背負う20歳右腕に響けば、先人への恩返しになる。【高山通史】

 ◆日本ハムの今季スローガン

 「前進せよ~トゥミコロクル~」。東京から北海道へ本拠地を移転して11年目のシーズンを次の10年への第1歩ととらえ、原点に立ち返る意味で北の大地で古くから伝わるアイヌ語を初採用。「トゥミコロ」は戦をする、戦うの意味。「クル」は人、男をの意味で直訳すると「戦う男」。後退することなく、あらゆる瞬間に全力を尽くし、勇猛果敢に戦いに挑む姿勢を示している。