強敵現る!

 阪神が獲得調査を行っている米大リーグのアスレチックス中島裕之内野手(32)を古巣西武も狙っていることが1日、分かった。アスレチックス傘下2Aミッドランドでプレーする中島は9月中旬にもシーズンが終了。日本復帰を決断した場合、争奪戦は免れなくなったが、阪神は速攻アタックの誠意を尽くし地元出身の大型内野手に迫る。

 阪神が狙うスラッガーは争奪戦が避けられなくなった。中島が日本球界に復帰する意思を見せた場合、西武も獲得へ名乗りを上げることが明らかになった。伊丹北高から入団してメジャー移籍するまで、一流の選手に成長した古巣になる。阪神にとっては、最強と言ってもいいライバルが現れたことになるが、それは覚悟の上だった。

 地元兵庫生まれの中島は、西武で強打の内野手として活躍した。清原の「3」を背負い、09年には最多安打のタイトルを獲得。ベストナイン4度、ゴールデングラブ3度と日本球界を代表するスターとなった。12年に海外FA権を行使して、米大リーグ・アスレチックスと契約。実力的にも人格的にも若手の手本になれると評価は高い。

 阪神は7月に中村GMが渡米して、アスレチックス傘下のマイナーリーグで懸命にプレーする中島の姿を追った。故障で出遅れるなどして2年間でメジャー出場はないが、攻守で十分に通用すると判断。今季で契約終了となる中島が日本復帰を決断すれば、獲得に乗り出す方針を固めている。

 三塁には今季コンバートされた今成が安定した守備を見せている。残留を目指す西岡と上本の二塁手コンビ、新井良にベテラン新井と関本もいる。それでも近年は地元出身選手での構成に力を入れることもあり、ぜひとも欲しい強打のスラッガーになる。中島は9月中旬にも2Aのシーズンを終える。西武というライバルも浮上する中、球団は交渉解禁となり次第アタックする方針でいる。誠意を尽くして、競合を勝ち抜く。

 誠意の一環として、秘策ともいえる「レジェンドナンバー」プランを温めている。阪神の象徴的背番号、ミスター・タイガース掛布DCが現役時代に着けていた「31」や、和田監督や鉄人金本が背負った「6」も用意している。西武はかつての「3」を空き番にしたまま構えているが、虎も1歩も引かない。

 ◆中島裕之(なかじま・ひろゆき)1982年(昭57)7月31日、兵庫県生まれ。伊丹北から00年ドラフト5位で西武入団。高校では主に投手で、プロ入り後に遊撃手転向。04年にレギュラー定着。08年北京五輪、09年WBC日本代表。09年最多安打、08、09年最高出塁率。ベストナイン4度、ゴールデングラブ賞3度。12年オフに大リーグ・アスレチックスと2年契約。13年は左太もも裏の故障のため開幕を3Aで迎え、メジャー出場なし。2年目の今季もメジャー出場はなく、4月に2Aに降格。181センチ、90キロ、右投げ右打ち。

 ◆中島今後の日程

 中島のアスレチックス傘下2Aミッドランドはテキサスリーグに所属。レギュラーシーズンは今日1日(日本時間2日)に終了。3日(同4日)からは同リーグ南地区前期優勝のフリスコとディビジョンシリーズを戦う。3戦先勝の同シリーズを勝ち上がれば、9日(同10日)から北地区優勝チームと対戦するチャンピオンシリーズへ。最終第5戦まで進めば14日(同15日)終了となる。