<巨人4-2広島>◇3日◇上毛敷島
己を信じた。巨人山口鉄也投手(30)が、7年連続の50試合登板を無失点で飾った。3点リードの7回に登板も、背負ったのは1死満塁のピンチ。幾多の危機を救った鉄腕は、菊池、丸を直球で空を切らせた。「別に(記録は)意識してないですけど、これだけ使ってもらえたことには、感謝の気持ちしかないです」と、寡黙な職人らしい言葉で振り返った。
不安と闘う日々が、大記録の源だった。08年にセットアッパーの座を確立。マウンドに立ち続けることを存在価値に定めた。「マグロは、泳ぎ続けないと死ぬって言うじゃないですか。僕も、そう。投げてないと不安なんです」。試合後は、昔も今もウエートトレーニングを続ける。数々の荒波を乗り越え、球界随一の“本マグロ”として、プライスレスの値を刻んだ。
毎年、恐怖心に襲われるが、今年ほど強かった年はなかった。キャンプ中に左肩痛を発症。開幕直後は不調で打ち込まれ、終盤に入っても悩むことが多かった。「怖いんです。こんな感覚は初めて」。前回カードのDeNA戦の後だった。車のエンジンをかけ、フゥーと吐き出した。それでも、鉄腕は止まらなかった。必死にもがき、キャッチボールでフォームの試行錯誤を繰り返した。
試合の行方を決める激流の中が、自分の居場所。たたき上げの覚悟が、鉄腕を支える。宇都宮へ移動するバスに乗る直前、山口は言った。「これからも投げ続けていきたいと思います」。前人未到の7年連続60試合登板に向け、力強く泳ぎ続ける。【久保賢吾】




