<西武1-6ロッテ>◇3日◇西武ドーム

 西武中村剛也内野手(31)が、本塁打王争いトップに立った。4点ビハインドの4回にバックスクリーンにたたき込む29号ソロ。試合はこの1発のみの1点に封じられて敗れたが、巻き返しに主砲のバットは不可欠。4番が2年ぶりのタイトル奪還に向け打ちまくれば、ファンが喜ぶだけではない。チーム浮上への勢いも、必ず取り戻せるはずだ。

 4番の意地だった。4点ビハインドで迎えた4回。中村は1死無走者のフルカウントから、甘く入ったスライダーを逃さなかった。滞空時間の長い、ホームランアーチストらしい、バックスクリーンへの29号ソロ。これでオリックス・ペーニャを抜き、本塁打王争いで単独トップ。それでも「どうでもいいです」と、個人タイトルを気にかけるそぶりもなかった。

 48本でタイトルを獲得した11年以来の30本にも王手をかけた。開幕は背中の張りで2軍スタート。出遅れたにもかかわらず、8月に計11発とアーチを量産。現在も右肘が万全でなく、出場は指名打者。バットだけに期待がのしかかる中で、あっという間にライバルたちを抜き去った。

 笑顔すら見せなかったのは、何よりもチームの勝利を求めるから。球場を引き揚げる際も、発したのは「(今日は)特にないです」のひと言だけだった。5点を追う9回無死一、二塁。甘く入った145キロ速球を打ち損じ一邪飛に倒れると、ベンチでしばらくヘルメットをかぶったまま。うつむいて唇をかみしめた。

 中村は普段から多くを語らない。前夜の敗戦でチームは5位に転落。逆転でのクライマックスシリーズ(CS)進出に厳しい戦いが続くが、打席を迎えるごとに響き渡るファンの歓声は誰よりも大きい。1発への、特大の放物線への期待。主砲が打てば-。4番がアーチを描き続けることが、浮上への道になる。【佐竹実】