<阪神1-3DeNA>◇3日◇甲子園

 海外FA権を保有する阪神鳥谷敬内野手(33)が複数の米球団から熱視線を浴びる。DeNA戦(甲子園)をア・リーグの強豪タイガースやロッキーズのスカウトが視察した。今季は序盤から安定した打撃が高く評価され、6月時点から5球団以上が殺到。シーズン佳境でも好調を維持し、米球団も追い続ける。夢としてメジャー志望を抱いてきた。いまは逆転優勝に全力を注ぐが、オフの決断に注目が集まる。

 メジャーのスカウト勢が背番号1の一挙手一投足に注視した。9月に入り、米球団の力量チェックは大詰めを迎える。この日は甲子園のバックネット裏にタイガースのほか、ロッキーズのスカウトが陣取り、試合を視察した。タ軍のトマス・ムーア国際スカウトディレクターは「FA選手だけでなく、将来的に有望な若手も見に来た」と説明。海外FA権を持つ鳥谷もターゲットの1人だ。

 この日も攻守で堅実なプレーを見せた。1回1死二塁では三塁内野安打で好機を拡大した。3回も冷静に四球を選んで出塁する。守備でも6回、岩田がはじいたゴロを機敏にチャージしてアウトにした。ムーアディレクターは「グラブの使い方がいいよね」と評価していた。かねてメジャー志望がある鳥谷について、シーズン序盤から複数球団がチェックを重ねる。6月には5球団が集結したこともある。前日2日にはレッドソックスの球団首脳も訪問しており、熱は冷めない。

 近年はツインズ西岡(現阪神)やアスレチックス中島らが結果を残せず、日本人内野手に厳しい市場になっていると言われる。その一方で鳥谷のプレースタイルを評価する球団も多い。ア・リーグのある球団スカウトは「リストに入っています。バットコントロールがうまいし、どこでも守れるでしょう。何より、体が丈夫なのが強み」と評し、別のスカウトも「守備は普通にこなせるだろうし、機動力もある」と話す。

 メジャーの内野手と比較しても平均ランクと遜色ないという。今季は打率3割2分2厘と安定し、この日で1442試合連続出場中だ。大リーグは酷な移動を強いられる。全162試合の長丁場を乗り切るタフさも重要なカギで、連戦を戦い抜く体力も高評価だ。

 鳥谷は12年に取得した海外FA権を保有する。昨オフも残留か、メジャーか心が揺れ、権利を行使せず、阪神でV奪回を目指す決意を固めた。チームのキャプテンとして奮闘し、いまは逆転優勝に全力を尽くす。ただ「夢は持ち続けていきたい」と話したこともあり、シーズン後に野球人として決断する方向だ。いまや阪神に欠かせない精神的支柱の行方に注目が集まる。

 ◆タ軍の内野手事情

 二塁はベテランのキンズラーが不動の定位置に座り、三塁は急成長のカステラノスがレギュラーをつかんだ。遊撃は当初構想ではイグレシアスが本命だったが両足疲労骨折で今季出場なし。ロマインと有望株のスアレスを併用している。

 ◆ロ軍の内野手事情

 メジャー最高の遊撃手トロウィツキーは開幕から好調で打率3割4分、21本塁打をマークしていたが、8月に左股関節を手術し、今季終了。毎年のように故障に悩む。二塁はラメイヒュー、三塁はアレナドの若い顔ぶれが主力に成長した。