<ソフトバンク1-8ロッテ>◇15日◇ヤフオクドーム

 ロッテ涌井秀章投手(28)が7勝目を挙げた。「ストレートが戻りつつある」と言う通り、力感のないフォームから手元で伸びる速球を武器に、ソフトバンク打線を封じた。

 <証言1>

 受けた田村が、速球の良さを最も感じていた。

 「直球でファウルが取れるようになってるのが大きい。カウントを稼げるので、常に有利なカウントに持ち込める」

 直球が良くなることで、変化球も使いやすくなった。相手を後手に追い込むリードが可能になった。

 <証言2>その直球をよみがえらせたのは、わずかなフォームの変更だった。味園ブルペン捕手が言う。

 「以前に比べて、右腕のテークバックが、体の近くを通るようになった。それで、肘が高く上がるようになった」

 その分、シュート回転の球が激減し速球のキレが増した。

 <証言3>下半身が使えるようになったことを裏付ける変化もある。指摘したのは大迫トレーニングコーチだった。

 「センターから映したテレビの映像で見ると、今まではっきり見えていた背番号16が、扁平(へんぺい)がかかったように見える。これは体が前に乗っていっている証拠。最後、しっかり前傾してリリースできているから、そう見える」

 より前で放たれたボールは手元で伸びる。

 野球はコツのスポーツだ。「ある日突然、急激に球が速くなることもある」と涌井も言う。シーズン終盤になってしまったが、涌井はそれをつかみつつあるようだ。【竹内智信】