<西武6-0日本ハム>◇16日◇西武ドーム

 無傷の7連勝中だった日本ハム先発の中村勝投手(22)が、16試合目の登板で今季初黒星を喫した。西武の秋山、浅村に本塁打を浴びるなど5回途中6安打6失点。5四球と制球にも苦しみ、西武先発菊池との09年ドラフト1位対決で悔しい敗戦となった。

 “よりどころ”が、崩れ去った。栗山英樹監督(53)は「(中村)勝でもそういう時がある。しょうがない。先に大量点を取られると、きつい」。苦しいときにもチームを支えてきた不思議な力は、どこかへ消えた。

 「負けない男」が喫した、痛恨の初黒星。前回登板まで15試合で7勝無敗の中村が、3回に秋山に先制ソロを浴びると、4、5回も立て続けに失点し、中盤で大勢は決した。「コース、コースを意識しすぎて、思い切っていけなかった。こういう展開にしてしまい、悔しいです」。白星を重ね、たとえビハインドでマウンドを降りても、味方が逆転したこともある。奇跡の上位進出へ欠かせない「キーマン」に、土がついた。

 09年ドラフトで西武1位菊池と、日本ハム外れ1位中村。ともに勝敗がつかなかった11年10月9日(札幌ドーム)以来、2度目のドラ1先発対決だった。「相手も良かったので先制点をあげないようにと思ったんですけど」。先に降板の中村は悔しさをにじませた。

 栗山監督は午前中、都内の自宅で、1冊の雑誌を手にしていた。自身の生まれ年でもある1961年1月発売の野球週刊誌だ。巨人、西鉄などの監督を歴任した、尊敬する伝説的名将・三原脩氏(享年72)が「連覇の条件」を語る巻頭インタビュー。「そこに書いてある苦悩は一緒。時間がたっても変わらない。昔の答えを、いま使わせてもらっている」。チームを率いた者にしかわからない悩みや葛藤。先人の言葉に自らを重ね、現状打破のヒントを探した。

 だがベンチでは、瀬戸際に追い詰められた現実に引き戻される。今日17日の結果次第では、リーグ優勝の可能性が完全に消滅する。「打線の状態はそんなに悪くない」。0封負けしたが、2ケタ安打を放ち、毎回走者を出した。最後まで、ファイティングポーズはとり続ける。【本間翼】