<オリックス0-5ソフトバンク>◇16日◇京セラドーム大阪

 球場全体が白球の行き先を悟った。打ったソフトバンク李大浩内野手(32)も打席の外で歩かずに“鑑賞”だ。眼下の敵をぶったたき、マジック点灯に王手をかけるダメ押しの16号3ラン。鷹党で埋まる左翼席の中段まで運んだ。「打ったのはスライダー。完璧」。着弾を見届けると、バットを放り投げ、珍しく感情を爆発させた。

 5回1死一、二塁。直前に内川が敬遠四球。古巣は自分との勝負を選んだ。「俺が打つという気持ちだった。4番の、自分のプライドを持って打席に入った」。目の色が変わった。胸に埋もれていた誇りという名の火だねが大きくなった。

 フルカウントから2球ファウルで食らいつき、最後は外角スライダーに体を沈めながらバットに力を伝えた。一撃で5点差。マウンドに膝から崩れ落ちた西をKO。今季2ストライクからは8発目。得点圏打率の低さを指摘されることも多いが、大事な試合で勝負強い打撃をみせた。「韓国で『悪口を言われるほど長生きをする』ということわざがある。プラス思考でいます」と笑った。

 首位ながら直前2カード連続で負け越し。6試合で適時安打は2本と負のデータを抱えて大阪入りしたが、2回は吉村が先制打。松田がけん制死で2死走者なしという悪条件から、左前打の柳田が二盗を決めてチャンスを生み出した。3回には9番明石からつなぎ、内川が適時打。全員攻撃と4番の1発のブレンドで打ち勝った。

 これで4・5ゲーム差。今日17日に勝つか、引き分けで優勝へのマジックナンバーが3年ぶりに点灯する。【押谷謙爾】

 ▼首位ソフトバンクがオリックスに先勝。今日17日にソフトバンクが勝つとマジック7が点灯、引き分けでもM8が出る。