<DeNA3-6巨人>◇26日◇横浜

 優勝マジック2の巨人がDeNAに快勝。2位広島が敗れ3年連続36度目のセ・リーグ優勝に輝いた(1リーグ時代を含めると通算45度目)。

 慣れ親しんだ捕手で、歓喜の瞬間を迎えた。阿部慎之助捕手(35)が胴上げの輪の大外で跳ねた。過去2連覇は主役。だが今年の苦闘を表すように、縁の下を担った。下半身の不安で2戦連続先発落ちも大一番で復帰。6回に軽打で1発攻勢の呼び水となった。「誰かが頑張ったではなく、本当にみんなでやったことだと思う。うれしいね」。しみじみと話した。

 開幕前からの首痛が、すべてを狂わせた。打撃は2割5分前後。守備も不安定だった。8月、4番に固定されると同時に捕手と一塁手の併用になった。故障以外の理由で本格併用はプロ14年目で初。「体では分かっているけど、頭ではなかなかね。ずっと捕手でやってきたから」。負担を軽減させてくれた首脳陣の配慮には感謝する。だが体の髄まで染み込んだ愛着あるポジション。葛藤はあった。

 8月中旬の甲子園の時期。かつてあこがれたヒーローの話を向けると、笑った。「山田太郎、すごいよね。打率7割以上でしょう?

 捕手って大変だ」。人気野球漫画の主人公は同じ左打ち、似た体形の強打の捕手。現実と架空のはざまで必死に前を向いた。

 苦しい時こそ、初心に帰った。「できることは、チームが勝つためにだね」。早出の特打練習では大田の打撃投手を買って出た。変化球を織り交ぜ、キリキリ舞いにさせた。ストレス発散ではない。変化球打ちの課題に正面から取り組んでもらいたかった。「オレにあいつの体があったら…」。逸材の才能開花を期待していた。そして後輩は、勝負の9月に覚醒した。

 苦しい戦いだった。だがポストシーズンが待ち受ける。真価を発揮する時がきっと来る。【広重竜太郎】