<阪神2-1ヤクルト>◇27日◇甲子園
広い甲子園のセンターに打球が伸びた。阪神伊藤隼太外野手(25)は「抜けてくれ!」と祈りながら全力で走った。1点ビハインドの5回1死走者なし。和田監督から代打の指示を受けると、志を固めた。
「塁に出ようというより、2ストライクに追い込まれるまでは持ち味を出して振っていこうと。ホームランになって満足している」
ヒットゾーンに転がすというような、中途半端な気持ちはなかった。好投していた石山の4球目。外角の141キロを思いっきり振った。二塁ベース付近で甲子園初本塁打を確認。体の前で思い切り手をたたき、感情を爆発させた。7月6日DeNA戦以来の2号ソロ。今月13日広島戦を最後にスタメンから名前が漏れた。その間、代打では5打数無安打。それでも「状態は悪くなかった。前を振り返ることなく、今日は今日で」と気持ちをリセットした。
8月は打率3割3分8厘とフィーバーした。今年の特徴の1つは、打席に入ったときスクワットのように沈み込むしぐさだろう。その真相は重心を落とす、というような打撃理論からはきていない。「なんかしっくりこないから。いいポジションを毎回探している。(フォームは)発展途上かな」。3年目の覚醒と言われたが、毎打席繊細な感覚をつかもうと試行錯誤を繰り返していた。それが試合後「あっちにホームランが出たので」と手応えを口にした。再浮上のきっかけをつかんだかもしれない。
「(福留さんは)調子がいいんで、それに負けないように頑張ります!」
甲子園で立った初めてのお立ち台は最高だった。沸き上がるファンを前に、好調福留へ堂々の宣戦布告。クラブハウスへ続く階段を上る足取りも軽かった。勝負の秋に隼太、復活の気配だ。【松本航】



