<広島2-4阪神>◇1日◇マツダスタジアム

 意地か執念か、阪神和田豊監督(52)がシーズン最終の広島戦に勝利を収め、2位の可能性を残した。5連投となる呉昇桓を8回1死一、二塁のピンチで投入。守護神はパーフェクト救援で39セーブ目とチームの75勝目をつかんだ。もし広島が5日巨人戦に敗れれば…CSは本拠地甲子園で開催だ!

 少なくともこの日のラスト白星、大一番でのもろさはなかった。

 もがいて、もがいて、和田阪神がシーズン最終戦を勝った。すべてを救ったのは守護神呉昇桓だった。2点リードの8回、福原が1死一、二塁のピンチを招いた。ここで和田監督がベンチを立つ。真っ赤に染まったマツダスタジアム、完全アウェーの雰囲気の中、最後の切り札に残り5つのアウトを託した。

 絶対守護神は本塁打を放っているロサリオを力でねじ伏せた。堂林を寄せ付けなかった。ピンチを脱すると9回は「石直球」の連発で3人斬り。韓国時代を通じて自己最多となる64試合目登板でも球威はまったく衰えなかった。圧倒的な個人能力で、負ければ2位消滅の「決戦」を制した。

 和田監督

 スンファンにどうつなぐかというのを、今シーズン、考えてやってきた。ここのところ、またいだり2イニングいったり。よく頑張ってくれた。

 今季を象徴するようなゲームだった。初回に1点を先制したが、主導権を握れない。3回無死一塁では大和が送りバントを失敗した。だが、相手の暴投で三塁へ進み、鳥谷の適時打が生まれた。4回は1死一、三塁から能見の投ゴロで新井が三本間に挟まれた。ところが挟殺プレーで三塁梵が擬投を繰り返すうちに本塁がガラ空きとなり、新井が突入。あぜんとするような形で3点目が入った。

 納得のいく攻撃ではなかったが、もがいた先に得点があった。7回からは先発能見を降板させて決死のリレーを決断した。松田が1点を失い、福原が追い詰められた。ただ、和田阪神にはすべてを救える「ジョーカー」がいた。ゴメス、マートンが打ち、呉昇桓が抑える。まさに今シーズンの戦い、そのままだった。

 呉昇桓

 常に行く準備はしていた。重要なゲームだったしね。

 セーブ王を確定させている呉昇桓は表情を変えずに言った。シーズン最後の5試合すべてに登板し、1点も許さず。連投、イニングまたぎ、あらゆる期待に完全な結果で応えた。

 和田監督

 やるだけのことはやったんで。チームとしてはCSの準備に入らせてもらう。意地らしいものは見せられた、かな…。

 5日の広島-巨人戦に2位の可能性を残した指揮官はこう締めくくった。契約最終年の自身の去就は現在「白紙」。甲子園か、マツダスタジアムか、今は来るべき決戦に向けて準備をするだけだ。【鈴木忠平】

 ▼阪神がシーズン最終戦に勝ち、今季2位に望みをつないだ。今季の通算成績は75勝68敗1分けで・524。広島が5日の今季最終戦巨人戦●なら、74勝68敗2分けで・521となり、阪神が上回る。同日に広島が○または△なら、広島2位阪神3位が確定する。