<広島2-4阪神>◇1日◇マツダスタジアム

 勝負は甘くない!

 2位マジックを「1」としていた広島は地元で3位阪神と対決したが、攻守ともにミスが出て敗戦。再びゲーム差がなくなった。野村謙二郎監督(48)は「泣いても笑ってもあと1つ。集大成で」。今季最終戦となる5日巨人戦(マツダスタジアム)の必勝を誓った。

 2位確定を「生みの苦しみ」と言っていいのかどうかはともかく、あと1つが決めきれない。この日で今季の入場者は187万4279人となり、球団記録を更新する地元ファンの熱い声援の中、悔しい敗戦となった。

 「もったいないね。凡ミスが得点につながった。やってはいけない失点もあったしね。言っても仕方がないけれど。最後の最後、早くホームでたくさんのお客さんの前で何とか決めたいんだけどね」

 努めて冷静に野村監督は話した。しかし暴投、ムダな四球など自身が嫌うプレーの連続に、表情はさえなかった。

 象徴的だったのは0-2の4回の守備だ。無死一塁から阪神新井は遊ゴロ。遊-二-一の併殺と思われたが、二塁菊池が一塁へ悪送球してしまう。安打を挟んで1死一、三塁。続く9番能見の投ゴロで三塁走者・新井が飛び出した。挟殺プレーとなったが、三塁梵と捕手会沢の息が合わず、生還を許してしまった(記録は投手の野選)。

 「走者がかぶってしまったのもありましたが…」と会沢は渋い表情。その裏にロサリオの反撃弾が出ただけに痛い3点目だった。

 9回にはミコライオが体調不良を訴え、1死一塁で上本に3球を投げたところで降板してしまった。スッキリしない降板劇に指揮官は「阪神の呉昇桓ですか。彼は素晴らしい。ガッツがある。うらやましい」とチクリと皮肉るしかなかった。

 これで2位マジック1のまま、残すは5日巨人戦のみ。勝つか引き分けで初のCS地元開催が決まる。「泣いても笑ってもあと1つ。集大成です」。この日の敗戦を吹き飛ばすには、最後のG倒しかない。【編集委員・高原寿夫】