<広島2-4阪神>◇1日◇マツダスタジアム

 阪神能見篤史投手(35)が「予行演習」を完璧にこなした。6回5安打1失点。今季最終戦で意地とプライドをちりばめた。味方打線が1回に1点を先制すると、先を見ずにハイペースな投球にシフト。直球を右打者の内角低めに次々に決め、フォークで空振りを奪う。4回にロサリオにソロを浴びたが、表情を変えず投げ続けた。

 「初回から飛ばしていきました。最後だからね。やることは変わらないけど」

 ハイペースの影響や打順の巡り合わせもあって6回でマウンドを去ったが、ブルペンで待機していた藤浪も必要としなかった。9勝目を挙げ、防御率も3・99。最終戦で今季初めての3点台に乗せて着地した。結果が悪ければ微妙な状況になっていたCS登板へも前進。中西投手コーチも「対広島、マツダ(スタジアム)と相性のよさを見せてくれた」と評価した。

 頼もしい数字が残った。これで今季マツダスタジアムでは2試合で計14回3失点。広島戦は3戦で2勝1敗、防御率は1・71。球場は未確定だが、ファーストステージに向けてインパクトを残した。特に広島打線をけん引する丸に対しては、今季10打数で無安打。この日の3度の対戦ではいずれも直球で押し込み、快音を許さなかった。。

 「CSも念頭?

 それはない。嫌な印象を与えた?

 うーん。もともと僕自身悪いイメージはないので」

 登板がなかった昨季のCSから1年。オフからずっと「CSのことは僕に聞かないでください」と遮ってきた。思いは胸の奥にしまってきた。チームが勝てばいいと、試合のたびに口にする。登板へ状況はそろいつつある。能見は答えを出してくれるはずだ。【池本泰尚】