阪神久保田智之投手(33)が3日、兵庫・西宮市の球団事務所で引退会見を行った。150キロを超える直球を武器に、藤川、ウィリアムスとの勝利の方程式「JFK」を形成し05年にはリーグ制覇に大きく貢献。ジャケットがはち切れそうなガッチリとした体は、当時と変わらない。久保田は席に座ると、時折言葉を詰まらせながら12年のプロ野球生活を振り返った。

 「本当はまだ現役でやりたい気持ちがあった。ただ、ケガと付き合いながらやるような世界じゃない」

 今季は2月に右肘を手術。5月の実戦復帰後は鳴尾浜から懸命に1軍を目指した。残念ながらその機会は訪れなかったが、阪神に多大な財産を残した。「05年の優勝の時に抑えで最後に投げさせてもらったのは、自分の中でも一番うれしかった」。マウンドでは表情を崩さない。そんな男が胴上げ投手となり、満面の笑みを見せた瞬間だった。

 「JFKと呼ばれて、全国の人に知ってもらえて僕自身幸せでした。その頃から中継ぎの大切さを、少しでも分かってもらえたんじゃないかなと思う」

 リリーバーとしてのプライドをのぞかせた。07年にはプロ野球記録となる前人未到の90試合に登板。そういった登板数の影響を嘆く声もあるが「(しんどいとかは)まったくなかった。逆にそこまで使ってくれて岡田監督に感謝している」と言い切った。181センチ、95キロ。その大きな体は最後までたくましかった。

 今後についてはこれから熟考する。02年ドラフト5巡目で入団すると周囲のレベルに驚き「1試合でも1軍で投げられればいいや」と考えた。そんな男が立った444回の1軍マウンド。阪神の、プロ野球の歴史に名を刻んだ。【松本航】

 ◆久保田智之(くぼた・ともゆき)1981年(昭56)1月30日、埼玉県生まれ。滑川-常磐大を経て02年ドラフト5巡目で阪神入団。05年は27セーブ。通算149ホールドポイント(117ホールド、32救援勝利)はプロ野球5位。181センチ、95キロ。右投げ右打ち。<久保田鉄腕アラカルト>

 ◆捕手との二刀流

 滑川3年時に、捕手として夏の甲子園に出場。1回戦の境戦では7回途中からリリーフ登板。8人の打者から4三振を奪った。

 ◆チーム最速

 プロ1年目の03年5月24日ヤクルト戦では156キロと、当時の球団最速記録を樹立。05年6月21日中日戦では、157キロをたたき出し自身の記録を更新した。

 ◆シーズン登板数日本記録

 中継ぎに定着した07年には90試合に登板。年間登板数のプロ野球最多を記録し、防御率1・75と抜群の安定感を示した。