<楽天0-6オリックス>◇4日◇コボスタ宮城

 6点ビハインドの9回2死走者なし。この日5個目の四球で歩かされても楽天銀次内野手(26)は淡々と受け止めていた。「思った通りの打席内容。逆の立場だったら、そうなっていたと思う」と振り返った。

 打率3割2分6厘。首位打者争いで、少しでも打率を上げるためにプロ初の1番に座り、5度打席に立った。だが、1度もバットを振ることはなかった。相手バッテリーはバットの届かない外角にミットを構え続けた。5厘差でトップを走る糸井のため、敬遠気味に勝負を避け続けた。

 怒りが爆発したのは本拠地コボスタ宮城のファンだった。「勝負しろ!

 勝負しろ!」とコールが巻き起こった。怒声に包まれる異様な空気だったが、星野監督は「向こうの作戦だから。ランナーで出て、ライナーで飛び出たり集中力が欠けてる。それじゃあ首位打者はとれない」と銀次自身に反省を求めた。

 6日の最終戦は再びオリックスが相手で、勝負を避けられる可能性が高い。糸井の3割3分1厘を超えるには、今日5日の日本ハム戦で4打数4安打が必要条件となる。対戦相手は大谷。銀次は「最後まであきらめません」と力強く言い切った。【島根純】

 ▼1試合5四球のパ・リーグタイ記録=銀次(楽天)

 4日のオリックス23回戦(コボスタ)で記録。03年中村(近鉄)以来5人、6度目。プロ野球記録は91年落合(中日)の6四球。<タイトル絡みの四球攻め>

 ◆82年長崎(大洋)と田尾(中日)の首位打者争い

 中日のリーグ優勝がかかった10月18日の最終戦。大洋は3割5分1厘の長崎を欠場させ、3割5分の田尾には5打席オール四球。最終打席では田尾がわざとボールを振るシーンも。

 ◆84年掛布(阪神)と宇野(中日)の本塁打王争い

 両者37本で迎えた10月3、5日の直接対決2試合で、2人とも40球すべてボールの10打席連続四球。宇野は3日の7回、2死満塁の場面でも歩かされ、2人がタイトルを分け合った。

 ◆88年高沢(ロッテ)と松永(阪急)の首位打者争い

 高沢が3割2分7厘、松永が3割2分3厘で迎えた10月22日からの3連戦。高沢は欠場。松永が2安打して打率を3割2分6厘へ上げると、22日の第3打席から11打席連続四球のプロ野球新記録。

 ◆96年山崎(中日)と松井(巨人)の本塁打王争い

 山崎39本、松井38本で迎えた10月8日の直接対決。プロ初の1番に座った松井は4打席オール四球。山崎が1本差で逃げ切ったが、当時の中日を指揮していたのは星野監督だった。