<日本ハム1-0楽天>◇5日◇札幌ドーム

 後輩の涙に、感極まった。引退セレモニー。日本ハム稲葉篤紀内野手(42)の前に立つ中田翔内野手(25)が泣いていた。もらい泣きした。あいさつで、あえて名前を出した。「中田翔を、よろしくお願いします」。かわいがってきた主砲を最後まで、いじった。最後は笑顔で場内1周で本拠地のファンにお別れした。

 試合は笑顔で終えた。5番でスタメン出場し、1回は慣れ親しんだ右翼を守った。6回の先制点には両手でガッツポーズ。打撃はルーキー松井裕に3打数無安打も「全部ストレート。松井君は首を振ってまで真っすぐで勝負してくれた。うれしかった」とルーキー左腕に感謝。スピーディーな展開で仲間が白星で飾ってくれた。

 引退を決断したのは、昨オフだった。年の瀬も間近となったころ、父昌弘さん(69)へ電話した。「来年でやめるわ」。9月2日の引退会見では、2月の春季キャンプ中に決意したと語ったが、人知れず覚悟を決めていた。昨季は打撃コーチ兼任ながら大不振。知人に苦悩を明かした。「他の選手のスイングを見すぎて、自分の打撃が分からなくなった」。気づけばスタメンから名前が消え、出場しても指名打者のケースが多かった。運動量が減り、体重も増加。負担は膝に来た。全力疾走が出来なくなった。潮時を悟った。

 まだ大きな目標が残っている。CSを突破しての日本一。「ここにいる全員で戦っていきましょう」。もう1度、本拠地で勇姿を見せたい-。満身創痍(そうい)で、20年間の集大成を最後の大舞台で見せる。【木下大輔】