<日本ハム1-0楽天>◇5日◇札幌ドーム

 楽天松井裕樹投手(18)は無言だった。今季ラスト登板で初めて完投した。ビジターで敗れたため、8回までだったが、95球で4安打1失点。直球中心に、ストライク先行でテンポが良かった。白星でもおかしくない内容だったが、援護がなかった。質問を受けても口を開かず、チームバスに乗り込んだ。悔しさを隠したかったのかもしれない。

 登板前日、「監督にいいところを見せたい」と言った。辞任する星野監督に投球を見せられる最後の機会。日本ハム稲葉の引退試合に、普段とは違う空気が流れたが、力強く腕を振り続けた。課題の制球も1四球のみ。星野監督は「向こうが淡泊とはいえ、良い経験になった。まだまだとはいえ、良い経験だ」と評した。チームは6連敗で、今日の今季最終戦に勝たなければ最下位が決まる。厳しいシーズンとなったが、1年目で27試合を投げた松井裕には、得難い時間だった。