<日本ハム1-0楽天>◇5日◇札幌ドーム

 日本ハム上沢がCSへ向けた試運転で、上々の手応えを残した。3回。楽天との今季最終戦に2番手で登板した。いきなり2安打を許し得点圏に走者を背負ったが、最後は空振り三振。4、5回は危なげなく3者凡退に抑えた。3回を2安打無失点で、盤石ぶりを披露。「正直、直球は良くなかった。押し込んでいる感じが、あまり伝わっていなかった」と結果とは裏腹に辛口な自己評価を下した。

 激動の1年の集大成を発揮する準備は整った。今季はプロ3年目で1軍初昇格。プロ初登板で初先発&初勝利の鮮烈デビューを飾り、そこから3連勝と快進撃を続けた。オリックス戦は8戦4勝。1完封、2完投で防御率2・63と好成績を残した。自身を胸に12日のファーストステージ第2戦(京セラドーム大阪)で先発予定。両親が観戦に訪れることが決まっているが「下手に力を入れず、やってきたことをやる」と初の大舞台へ自然体で臨む。

 去りゆく大ベテランへ頼もしい姿を見せる。この日は稲葉の引退試合という一戦。「守備での連係プレーは4回の一ゴロが最後になるのかなと思うと、寂しさを感じる」と別れを惜しんだ。1日楽天戦で行われた金子誠の引退セレモニーでは大号泣。涙もろさは自負しており「これで最後だと思うと泣いちゃうかも」との宣言通り、感極まった。チームを引っ張ってきた偉大な背中を追いかけるように、その第1歩、CSの舞台へ踏み出す。【田中彩友美】