小久保ジャパンはフレッシュな布陣で大リーガーを迎え撃つ。11月に開催される「2014

 SUZUKI

 日米野球」に出場する侍ジャパンの最終メンバー28人が9日に発表された。小久保裕紀監督(43)は、ヤクルト山田哲人内野手(22)、巨人小林誠司捕手(25)ら11人を初選出。17年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の世界一奪還を見据えて選考し、実力とともに将来性を兼ね備えた若い選手の飛躍に期待した。

 小久保監督の世界一にかける思いが、28人の顔ぶれに表れた。30代の選手は4人だけ。最年少の日本ハム大谷、阪神藤浪をはじめ初選出は11人と全体の約4割を占めた。「今回の日米野球はWBCに向けての強化試合でもある。経験を積ませたい若い年齢層の選手を選んだ」。3年後の最強チームをイメージし、実力とともに期待値を加味した。

 小久保監督は、初代表の選手の中でも特に期待値の高い選手としてヤクルト山田の名前を挙げた。今季、日本人右打者の最多安打記録を塗り替えた打撃はもちろん「セカンドやショートを守れる選手はチーム編成する上でも大切」と、いずれは攻守の軸に、という構想を持つ。同じポジションには山田より打率が高く守備にも定評がある広島菊池がおり「(ヤクルトでは)二塁しか守っていないと思うが(代表では)複数のポジションもあり得る」と、常時出場するための柔軟性も求めた。

 異例ともいえる大抜てきもあった。所属チームでレギュラーではない巨人小林が代表に入った。正捕手として輝く素材と見込んで原石の可能性にかけた。小久保監督は「肩が強く、思い切ったリードをする。経験を積めば、将来的には巨人でも、ジャパンでもレギュラーになれる。そういう期待を込めての選出です」と説明した。

 初代表の選手に、自覚を芽生えさせる機会にもなる。日本代表は常設化され、今では少年野球から女子野球にいたるまで「侍ジャパン」のユニホームを着て世界と戦っている。小久保監督は「侍ジャパンのトップチームは、少年少女の手本にならないといけない。そういう自覚を持ってほしい」と、言葉に力を込めた。

 もちろん、単に経験を積ませるためだけの試合にはしない。小久保監督は「勝ちにいくことが大前提」と、有名選手が続々と名乗りを上げるMLB選抜に対抗すべく最高のメンバーを選んだ。広島前田とオリックス金子という、両リーグを代表する2人をダブルエースに指名。野手ではソフトバンク内川ら経験豊富なベテランを中心に据え、必勝態勢でスター軍団に臨む。【広瀬雷太】