12年越しの悲願へ!!

 阪神安藤優也投手(36)が日本一への闘志をあらわにした。20日はCSの激闘を癒やすために静養。それでも、気持ちはもう前を見据える。03、05年の日本シリーズでは主力として奮闘しながら日本一を逃した。だからこそ語気を強める。

 「日本シリーズは独特の雰囲気があるんだよ。三度目の正直で、日本一になりたいね。あと5日間、しっかり調整してシリーズに向かいたい。本当に、日本一になりたいと思っている」

 13年目のベテランは08年から、球団史上初の3年連続開幕戦勝利投手に輝くなど、長く投手陣の中心で活躍し続ける。投手として飛躍させてくれる舞台が日本シリーズだった。初登板したのが25歳だった03年。ダイエー(現ソフトバンク)との初戦の7回からだ。2回を無失点に抑え、3イニング目に突入。9回2死一、二塁でズレータに左中間を破られ、痛恨のサヨナラ負けを喫した。

 勝負球を磨き抜く覚悟を固めた瞬間だった。ズレータとの勝負。2球で追い込み、外角スライダーを2球投げたが見逃された。ここで、矢野のサインに首を振って投げた内角直球を痛打された。安藤は言う。「矢野さんのサインに首を振ったのは正しかったのか。本当ならフォーク。フォークに自信があれば…」。ウイニングショットの重要性を身をもって痛感していた。

 今季のCS巨人戦で、安藤は仁王立ちした。17日、同点に追いついた6回2死一、二塁で片岡を空振り三振。2点リードの7回2死一塁で坂本を空振り三振。いずれも低めに落としたフォークで決めた。悔しさから始まった努力の跡が詰まっていた。「CSも、最初は状態が手探りだった。いい形で入れている」。05年もロッテ戦で先発しながら敗れた。志半ばの頂上決戦は鷹との再戦だ。不動の救援右腕は、大きな忘れ物を取りに行く。【酒井俊作】