日本一を決める「SMBC日本シリーズ2014」が今日25日、甲子園球場で開幕する。ソフトバンク秋山幸二監督(52)は前日の監督会議で予告先発を提案した。阪神和田豊監督(52)も同意したことで、駆け引きや情報戦の小細工なしのガチンコ勝負に持ち込むことに成功。戦力に自信のある秋山監督が「先手」を打って、有終の美を飾る7番勝負が甲子園で始まる。

 秋晴れの甲子園で周囲をアッと言わせた。日本一決戦を翌日に控えた監督会議。事故渋滞で迂回(うかい)路をとったソフトバンクのバスが球場入りしたのは開始の17分前だった。慌てず、堂々と席に着いた秋山監督はルール説明などを聞き終えると、敵将に問いかけた。

 秋山

 去年は予告先発やったんですよね?

 しますか?

 和田

 分かりました。やりましょう。

 秋山

 明日はスタンリッジで。

 和田

 うちはメッセンジャーです。

 52歳の同学年、やりとりは静かでも、同席の熊崎コミッショナーを感嘆させた真剣勝負。前哨戦から驚きと緊張感に包まれた。

 なぜなら2日前に秋山監督は「予告してメリットあるの?

 (右でも左でも)うちは(戦力は)変わらないからね」と語り、予告先発には消極的とみられていた。だが、この日になって「おれはどっちでもいいって言ったんだ」ときた。結果的に報道を介して和田監督の意表を突く形?

 となったのだった。

 そんないきさつは抜きにして、これで両軍が先発を探り合う必要性は消えた。小細工は無用で、互いに投手対策、作戦を練ってぶつかる。「阪神さんもうちも(投手の)右、左でそこまで打順が変わるとかはないので、シーズンとCSと変わらないようにしましょうと」。秋山監督も投手の左右に関係なく固定メンバーで戦い、リーグを制した自負がある。「うちの場合、日程の関係もある。その中でいかに投手が力を出せるか」と、先発陣全体の調整を考え、中5日のスタンリッジを開幕投手に指名した。

 監督会議で「先手」はとった。泣いても笑っても秋山ホークスの残りは最大7試合。「1戦目が大事になるのは間違いない。特別な戦いはできない。今までやってきた戦い方でいく」。ラストタクトに迷いはない。【押谷謙爾】