<SMBC日本シリーズ:阪神6-2ソフトバンク>◇第1戦◇25日◇甲子園

 打球を目で追うことなく、阪神ランディ・メッセンジャー投手(33)はベンチへの歩を進めた。1点をかえされた6回、なおも2死満塁で打席に中村を迎えた。フルカウントからの7球目。遊ゴロに打ち取った。5点リードでも大量点を奪われれば流れが変わる展開で、なんとか踏ん張った。7回6安打2失点。初戦を白星で飾った。

 「全体的によかったと思うし、自分の仕事はできたんじゃないかな。ただ6回にもうちょっとキャッチボールしておけばよかったかなと反省しています」

 米国・ケンタッキー州。自作のブルペンも兼ね備える自宅の一室に、宝物が飾ってある。アマチュア時代から手にしたトロフィーや記念ボール。そこに昨季、NPBで初めて獲得したタイトル、最多奪三振の記念盾が加わった。そして今季、最多奪三振と最多勝の記念品がそこに加わる。

 「特別なものだよ。オレが日本でやってきた、という証拠にもなる。今、最高の時を過ごせているんだ」

 来日5年目でエース級にまでなった。CSではファーストステージ初戦に先発。その前日10日に髪を刈り上げた。それからわずか2週間。また髪を刈り上げた。もちろんマイバリカンで行うセルフ散髪。後ろから見るとVの字形だ。「もちろん自分でね」。多くは語らなかったが、験担ぎの1つに違いはなかった。

 コーナーに決まる直球がさえ、フォークもキレていた。攻める投球は攻撃陣にも好影響を与えた。109球でマウンドを降り、予定されている中4日での30日第5戦登板にも影響はない。大黒柱が頼もしい。【池本泰尚】

 ▼シリーズ史上6度目、第1戦では初の外国人投手先発対決はメッセンジャーに軍配。第1戦で先発勝利の外国人投手は61、64年スタンカ(南海)95年ブロス(ヤクルト)09年ゴンザレス(巨人)に次いで4人、5度目になる。この日はV打がゴメス。勝利投手とV打が外国人選手は05年第4戦ロッテ(セラフィニと李承■)以来で、阪神では85年第2戦のゲイルとバース以来2度目。第1戦ではスタンカが完封、ローガンが先制犠飛の64年南海以来2度目だ。※■は火ヘンに華