<SMBC日本シリーズ2014:ソフトバンク5-1阪神>◇第3戦◇28日◇ヤフオクドーム
キャプテンらしい意地が光った。阪神鳥谷敬内野手(33)が巻き返しを期す一撃を見舞った。敗色濃厚の9回2死二塁。守護神サファテの初球に襲いかかった。真ん中カーブを痛打し、中前に運ぶ。二塁走者上本が生還し、完封負けをまぬがれた。
先発大隣を攻略できずに停滞ムードが充満していた。9回にわずか1点を奪っただけだが、流れや勢いが勝敗を分ける短期決戦では貴重な一打だろう。これが日本シリーズ初タイムリー。鳥谷が「守護神だし、嫌なイメージをつけられたらいいです」と言えば、関川打撃コーチも「最後に相手の抑えから、うまく点を取れた。明日につながる」と高く評価。負の流れを食い止める適時打になった。
わずか「1足分」に執念がこもる。大隣について「そんなに対戦したこともないし、イメージとかは…」と話すだけだったが、打席では工夫を凝らしていた。通常は打席の内寄り最後方の角に左足を置くが、この日は違う。約1足分だけ、投手寄りに移動。左腕の速球は140キロに満たない。もっとも打ちやすい間合いを探っていた。今季の公式戦でも中日浜田ら技巧派左腕を攻略するため、前に寄るスタンスを取っていた。
以前も「投手は毎回、調子が違うし、対戦したときの自分の状態もある。臨機応変に工夫しています」と話していた。難敵サウスポーをとらえるために、知恵を絞る。7回無死一塁では二ゴロ併殺打に倒れるなど、大隣には3打数無安打も、必死に攻略法を模索した。大一番でも冷静だ。
鳥谷は言う。「もう負けは返ってこないので、明日勝つだけ」。白星をもぎとるため、日本一になるために、技術や経験をすべてぶつける。【酒井俊作】



