やるなら今しかねえ!

 北の国からではなく、吉備国(きびのくに)岡山・倉敷でベテランが熱く燃えた。4日、楽天の小山伸一郎投手(36)、青山浩二投手(31)、上園啓史投手(30)、永井怜投手(30)が特守を行い、ノックの雨を浴びた。午後3時過ぎから約30分間、マスカットスタジアムのサブグラウンドに笑い声と叫び声がこだました。「捕れる、捕れる!」「惜しい!」。36歳の小山伸がズボンを土で汚しながら、懸命に白球を追う。内野守備のノックで右へ左へと振られながらも徹底的に走り込んだ。最年長が走るなら、年下も頑張らざるを得ない。青山、上園、永井も必死にグラブを伸ばした。

 小山伸は言う。「ベテランがやらないとね。やったら、若手も頑張るでしょ。声を出すのはつらい練習こそ楽しくやるというつもりだから。永井たちも一緒にやってくれて本当にありがたいよ」と笑顔を見せた。手本である年長者が、背中で若手にゲキを飛ばす。外野で走り込んでいた松井裕らルーキーも、ベテランの気迫あふれるプレーをじっと見つめた。見守った大久保監督は「頭が下がるね。ああやってやってくれるとチームが活性化する」と喜んだ。小山伸は「秋は追い込まないと。まだまだだよ」と余裕をのぞかせた。ベテランが引っ張ることで、秋季キャンプの密度の濃さが増していく。【島根純】