和田阪神が来季に向けて始動した。7日、鳴尾浜球場で秋季練習がスタート。前日6日に来季日程が発表されたことを受け、開幕投手を問われた和田豊監督(52)は藤浪晋太郎投手(20)がメッセンジャー、能見らとともに“候補”であることを明言した。侍ジャパンの一員として日米野球を戦う藤浪には中西投手コーチからも注文は出されておらず、文字通り、エース候補として扱われる。

 おだやかな秋空の下、和田阪神が来季へ向けて始動した。秋季練習には鳥谷、福留、関本らベテランと外国人選手を除いたメンバーが集結。和田監督は10月30日のシリーズ第5戦以来、久しぶりのユニホーム姿で上本、大和らの動きを見守った。

 「気持ちの上では日本シリーズに負けた時点で次の戦いに向かっているから」

 前日6日には来季の日程が発表された。今季逃した日本一を目指した3月27日、中日戦(京セラドーム大阪)で幕を開ける。そこへの第1歩を踏み出した。帰国する際にメッセンジャーが“志願”した開幕投手の話題を振られると「もちろん、候補になってくる。まだ、キャンプ、オープン戦になってからの話だろ。メッセ開幕って書くなよ」と含み笑いで制した。

 指揮官の頭にはまだ候補が並んでいるだけの状態だ。ただ、絶対に忘れてはいけない男がいる。2年連続で2桁勝利を挙げた怪物右腕・藤浪だ。高卒3年目での開幕投手という快挙にも期待がかかる。

 「候補の1人になってくるんだろうけどね…。それぐらいの力をつけてきているから名前があがる」

 今季は先発の中心として1年間、ローテーションを守って昨季を上回る11勝を挙げた。CS、日本シリーズも経験した。侍ジャパンの一員としてきょう8日から合宿に合流、メジャーリーガーと対する。中西投手コーチも「ケガをするな。しっかりやってこいということ」と言うように特別な注文は出ておらずまさに信頼を得たエース候補としての扱いだ。

 「今年も(メッセ、能見、藤浪の)3本柱ということでやってきたわけだから。来季もそこらへんが中心になってくる。(開幕から)3枚を並べるわけにはいかないからな」

 和田監督に言わせれば、今季も“開幕候補”であったことは間違いないようだ。ただ、来季はそれがより現実味を帯びてくる。早すぎる開幕投手の話題が、藤浪への期待感を浮かび上がらせた。【鈴木忠平】

 ▼藤浪が来季の開幕投手になれば、プロ3年目以内では97年川尻(3年目)以来、チーム18年ぶり。高卒に限ると69年江夏(3年目)以来、46年ぶりとなる。なお高卒からチーム最短での開幕投手は、54年小山の2年目。