<2014SUZUKI日米野球:日本代表4-0MLB>◇第3戦◇15日◇東京ドーム

 メジャー軍団を圧倒した。2試合を残して早々とシリーズの勝ち越しを決めた。侍ジャパンの小久保裕紀監督(43)は「勝ち越しという目標を達成できてうれしく思う。しかもノーヒットノーランという形ですから。なんといっても則本の投球はあっぱれだった」と、満面に笑みを浮かべた。

 3戦連続の完勝に「監督として指示は何もしていない」と謙遜するが、選手の力を引き出すための工夫が随所で垣間見える。「侍ジャパンに選ばれた選手は少年少女の手本にならないといけない」。規律を重んじ、時間厳守や練習中の着帽、移動の際の身だしなみには目を光らせた。その一方で、投手交代時には自らマウンドに足を運んで声を掛け、大会期間中に誕生日を迎えた選手にはチーム宿舎の食事会場にケーキを用意した。厳しいだけではなくこまやかな気配りも忘れず、限られた時間でチームを結束させた。

 3年後のWBCでの世界一奪回を見据えた、真剣勝負の場。シリーズ開幕前の「親善の意味合いの強かったこれまでの日米野球とは違い、勝ちにこだわる」という言葉にも偽りはなかった。今回の来日メンバーは、誰もが知るビッグネームはカノぐらいしかいない。対戦する際に選手が戸惑わないよう、専門のデータ会社から持ち球などの特徴やプレーの映像を入手し各自のスマートフォンで見られるよう手配。初顔相手でも伸び伸びプレーできる環境作りにも抜かりはなかった。

 今の日米野球の原点となった1931年のシリーズは、日本の17戦全敗だった。散々なスタートから83年。会見では爽やかな笑みを振りまく小久保監督だが、舞台裏では、したたかに勝つための準備を整えてきた。残り2戦も手綱を緩めず、5戦全勝で屈辱の歴史にも終止符を打つ。【広瀬雷太】