阪神が、オリックスから国内FA宣言した金子千尋投手(31)の獲得に参戦することが24日、分かった。この日、金子が今オフのメジャー挑戦断念を明言。今後、国内での争奪戦が本格スタートすることになった。阪神は今日25日にも緊急会議を開き、提示する条件面を協議する。基本的にポスティング移籍を認めていないが、メジャー志向の強い金子に配慮した条件も検討する構え。背番号18を用意し、最大限の誠意を尽くしてアタックする。

 大きな山が動いた。阪神がFA戦線の大本命にアタックする。金子が今オフ、ポスティング制度でのメジャー移籍を封印。残留か、国内他球団への移籍か。二者択一となった。国内球団による本格的な争奪戦のゴングが鳴り、阪神はためらわずに参戦を決断した。

 球団首脳は「参戦していいと思う。どのくらいの条件を出すか明日、明後日のうちにミーティングする。GOサインを出す。投手は何人いてもいい」と明言した。今日25日にも球団幹部を招集し、契約条件を煮詰める緊急会議を開く。米大リーグへの移籍願望を抱く金子の意思を尊重した提示内容になりそうだ。

 異例の「短期契約」もその1つ。球界トップクラスのFA選手に対して、常識的には3~4年の大型契約を用意して最大限の誠意を示すが、あえて最短2年から想定。メジャー志向の強い金子に配慮する形で、契約年数に幅を持たせて柔軟に対応する考えだ。

 阪神は基本的にポスティング制度による米球界移籍を認めていない。06年オフに井川(現オリックス)が同制度を用いた特例はあるが、藤川(現カブスFA)でも認めなかった。金子についても在籍1年でのポスティング移籍には否定的だが、2年目以降の同制度の是非について、あらためて議論する方向だという。

 球団は早くから金子に熱視線を送っていた。メジャー志向もあり1度は撤退したが、11日のFA宣言後は動向を見守っていた。参戦に備え、すでに獲得に要する予算を組む。年俸について、球団首脳は「現時点で決まっていない」と話すが、総額から換算した単年では5億円前後になりそうだ。

 来季は球団創設80周年を迎え、優勝が義務づけられている。エースナンバーの背番号18も用意。ありったけの情熱を示し、金子と交渉のテーブルにつく。

 ◆金子千尋(かねこ・ちひろ)1983年(昭58)11月8日、新潟県生まれ。長野商-トヨタ自動車を経て、04年ドラフト自由枠でオリックス入団。10年に最多勝(17勝)。13年に最多奪三振(200個)。今季は最多勝(16勝)最優秀防御率(1・98)に加え、初の沢村賞も受賞。通算成績は232試合、90勝48敗5セーブ、防御率2・69。今季推定年俸2億円。180センチ、77キロ。右投げ左打ち。