日本ハム斎藤佑樹投手(26)が“ゆるキャラ”との共闘を誓った。25日、応援大使を務める北海道・岩内町を訪問。同町のマスコットキャラクター「たら丸」と初対面した。かつては全国区の人気を誇ったキャラに、来季完全復活を期す佑ちゃんも興味津々。ゆるキャラ界の頂点を目指し続けている「たら丸」と一緒に、札幌ドームのお立ち台へ上がる大胆な目標を掲げた。

 佑ちゃんが、ゆるキャラ界のかつてのスーパースターに心を動かされた。岩内町役場で、愛らしくほほえむような「たら丸」に迎えられた。「初めまして」と律義にあいさつ。触れ合ううちに、距離は縮まった。真っ白で分厚いくちびる。ギョロッとした大きな魚眼、手にはアスパラガスを持って歓迎してくれた。「かわいかった」とぞっこんだ。最後に「たら丸、やばい」と、呼び捨てるほどの親近感。活躍して「(札幌ドームの)お立ち台に呼びたい」と熱望した。

 くしくも縁があった。斎藤が早実のエースとして、夏の甲子園で優勝投手になったのが06年。決勝再試合で駒大苫小牧を下した8月から、さかのぼること4カ月。その年の4月に「たら丸」はテレビ東京系の「TVチャンピオン」の企画「ゆるキャラ日本一決定戦」に出場。頂点を極められなかったが準優勝となり一躍ブレークした。現在のブームの先駆けだった。キャラ誕生から、それが苦節22年目の春だった。当時はすれ違っていたが、同じ年に日本一を目指した。不思議なシンパシーを感じてもおかしくない斎藤と「たら丸」の人生がこの日、交錯した。

 互いに思いを重ねるような現状でもある。斎藤は今季は2勝止まりだった。「来季はビールかけ、優勝旅行がしたい。その輪の中心にいたい」と完全復活を期すのが来季。「たら丸」も人気は下降線。千葉・船橋市の非公認キャラクターの「ふなっしー」など新興勢力に押され、影を潜めている。今年の「ゆるキャラグランプリ」もご当地ランキング717位まで転落。斎藤は「僕に出来ることがあれば」とヒーローインタビューでの共演を提案。「僕は群馬出身で、今年は(同グランプリで)『ぐんまちゃん』が優勝したんですよ」。皮肉にも故郷から、ゆるキャラ界の新星が生まれた。運命に導かれるように「たら丸」復興にかける材料がそろった。「来年以降も、岩内町を応援したい」。ピュアな気持ちで「たら丸」とともに、決してゆるくない再起への道を歩む。【木下大輔】

 ◆たら丸

 1985年(昭60)8月9日、北海道・岩内町生まれ。同町はスケトウダラのはえ縄漁発祥の地で、スケトウダラにちなんで誕生。たらこ唇と手に持っている朝もぎグリーンアスパラ、ねじりハチマキにゴム長靴のバリバリ漁師スタイルが特徴。特技はゆるきゃらバトルロイヤル相撲、ゆるキャラフットサル、「ニセコいわない国際スキー場」でスノーボード。趣味は温泉。家族は双子の妹べに子と弟ぴん助。

 ◆ゆるキャラのランキング

 ゆるキャラの人気に火が付き始めた06年にテレビ東京系「TVチャンピオン」で「ゆるキャラ日本一決定戦」を放送。秋田県のスギッチが優勝した。08年には「TVチャンピオン2」の「ゆるキャラ王選手権」で本州四国連絡高速道路のキャラクター、わたるが優勝。たら丸はともに準Vだった。10年からエントリーしたゆるキャラを対象に、投票などによって順位を決める「ゆるキャラグランプリ」がスタート。10年は携帯投票がタボくん(滋賀県)、記名投票がひこにゃん(滋賀県彦根市)、11年はくまモン(熊本県)、12年はバリィさん(愛媛県今治市)、13年はご当地部門でさのまる(栃木県佐野市)、14年は同部門でぐんまちゃん(群馬県)がグランプリを獲得した。ちなみにふなっしーは12年に506位だった。