オフの主役が正真正銘のスポットライトを浴びた。オリックスから国内FA宣言し近日中に右肘手術を受ける金子千尋投手(31)がパ・リーグの最高殊勲選手(MVP)に選出された。26日、都内で行われた表彰式「NPB

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 2014」で発表された。

 去就が注目される右腕は大忙しだった。金子は最多勝、防御率など表彰で名前が呼ばれるたびに壇上へ。MVPのトロフィーを受け取り、より顔が引き締まった。球団の受賞者は96年イチロー以来。投手としては78年山田久志以来36年ぶりの栄誉となった。

 「プロ野球に入った時のことを考えると、こんなにたくさんの賞をもらえると思わなかった。今年は悔しい2位だった。優勝してMVPを受賞できるよう、来シーズンは最高の形で迎えられるよう準備したい」

 2位躍進の原動力となり、パ・リーグでは優勝球団以外で08年楽天岩隈以来のMVP。今後について具体的な発言はしなかったが、次こそは優勝して2年連続受賞という強烈な意気込みは示した。壇上で来季はどこでプレーするのかと“直球”を投げられ「まだ決まっていないが、野球をやることには変わりない」とさらりとかわした。

 心配される右肘については再び軽症を強調した。「逆に今(遊離軟骨が)見つかって良かった。今手術してリハビリすれば、もしかしたら今年以上の強い自分を見せられるという気持ちもある」。来年3月27日のシーズン開幕に間に合うか微妙だが「手術すれば焦らず、間に合うように。ちょっと矛盾しますが」と、周到に準備する構えだ。

 MVP選手にまで成長できた大きな要因を「けがをしたこと」と振り返った。04年自由枠で入団1年目は右肘痛を抱えてリハビリの日々。11年は肘にメスを入れた。投げられない間に自らと向き合い、時には打者目線で考えて打ち取る術を身につけた。去就の判断はこれからだが、29日にも受ける手術を無駄にせず、1年後も同じステージに立つつもりだ。【大池和幸】