工藤ホークスが早くも大フィーバーを巻き起こした。ソフトバンクが30日、福岡市の筥崎(はこざき)宮で必勝祈願を行った。雨の中、約5000人のファンが境内を埋め尽くし、16年ぶり古巣復帰の工藤公康監督(51)は「お帰り」コールに胸を熱くした。松坂大輔投手(34=前メッツ)が加入するなど注目度は球界随一。日本一連覇の道は熱狂から始まった。

 筥崎宮本殿で、必勝祈願は厳かに執り行われた。工藤監督や王球団会長ら球団関係者175人が祈りをささげる。かたや門の外には、傘を差す人々が境内を埋め尽くしていた。その人数は約5000人(警察発表)。ダイエー時代を含め、過去最多とみられる。昨年比で2倍増。参拝を終え、ホークス関係者が続々と姿を見せると、静寂から一転して、歓声が巻き起こった。

 「お帰り!」「お帰り!」

 工藤監督が選手を従えて、壇上に立った。ファンへのあいさつで、16年ぶりの古巣復帰を歓迎する声が飛んだ。

 「皆さん、ただいま!

 16年ぶりに福岡に帰ってまいりました。監督、コーチをやったことがないですが、外からたくさんのことを学ばせてもらった。何年も優勝できるように、全身全霊をかけて、がんばります」

 必勝祈願では異例ともいえる大フィーバーだ。日本一チームに、工藤監督の就任、松坂の加入。話題性は12球団トップクラス。福岡の熱狂がキャンプイン直前に早くも形となって表れた。中でも工藤監督の帰還は、ファンの願いでもあった。99年オフにFAで巨人に移籍。その過程では残留を望む約15万人の署名をもらった。「お帰り」の声は指揮官の胸にしっかりと届いた。

 「福岡は野球をやってきた中で、最も苦労し、学んだ思い出の土地。ファンの皆さんに、お帰りなさいと言ってもらい、胸が熱くなった」

 帰りのバスに乗り込むまで、ファンとタッチを交わしながら歩いた。今日31日にはキャンプ地の宮崎に入り、歓迎パレードに参加する。日本一連覇の使命を負ったルーキー監督が、大フィーバーの中で1歩目を踏みしめた。【田口真一郎】