吉兆の「ナットリターン」!?

 DeNA中畑清監督(61)が思わぬアクシデントに巻き込まれた。1月31日、キャンプ地の沖縄・宜野湾に乗り込むため午前11時10分に羽田空港を出発する全日空機に乗り込んだが、機材の整備に不備があったため滑走路付近でまさかの折り返し。空港で約3時間も足止めされた。不備の詳細は公表されなかったが、機内には、非常口の案内板を固定するネジ部分に問題があったという情報が行き交った。ドタバタの沖縄入りになったが、中畑監督は「吉兆だ」と前向きに受け止めていた。

 気合十分、準備万全でキャンプ地・沖縄へと飛び立つ寸前に“事件”は起こった。午前11時前に中畑監督らDeNAナインを乗せた飛行機は、滑走路へと向かった。だが、待てど暮らせど離陸時のジェットエンジンが放つごう音が響かない…。搭乗から約1時間後になって「使用機の不具合のため対応を検討している」との趣旨の機内アナウンスが流れた。さらに、その直後にコックピットの機長が「使用機の交換のためいったん、引き返す」とのアナウンスが流れ、“リターン”が決まった。

 正確な原因は公表されなかったが、機内には、非常口の案内板を固定するネジ部分に不備があったという情報が流れた。これが本当ならば、話題のナッツリターンならぬナットリターン?

 バスで搭乗ゲートに再び戻された中畑監督は「何はともあれ無事だったんだからいい。事故を未然に防いだということ。これは吉兆だ。いい流れがきているね」と超プラス思考で捉えた。代替機が準備されるまでの時間は空港内で天ぷらそばと、すしで腹ごしらえ。「さっき、フランクフルトを食べたばっかりだけど、まあいいだろう」と豪快に笑い飛ばした。

 思わぬアクシデントを吉兆にしてしまう中畑監督のキャラクター性は今季も健在だ。2月5~7日まで宜野湾キャンプを視察することが決定した松井秀喜氏への要請もリターンならぬ再アタックが決め手だった。「1度は断られたけど『臨時コーチ』という肩書を外して、見に来てくれと再度、お願いしたら、松井が快諾してくれた」と交渉の裏側を明かした。松井氏には「フリー打撃をやってもらおうと思っているよ」とナインの目の前で実演指導をお願いするつもりでいる。

 紆余(うよ)曲折を経て、午後6時にようやく宿舎到着。とんだ長旅になってしまったが指揮官は「今日中に着けて良かったね。初日からこれだからね。今年も何かありそうだよ。出だしとしては悪くないね」とニヤリ。今季、中畑DeNAが球界の話題を独占する予感が早くも漂っている。【為田聡史】

 ◆ナッツリターン

 昨年12月5日、大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長(40)が、乗客としてニューヨーク・ケネディ空港で仁川行きの自社機ファーストクラスに搭乗。離陸前、乗務員がナッツを袋に入れたまま配ったことに激怒。男性責任者を呼び出し、機から降ろした。滑走路に向かっていた機は駐機場に引き返し、離陸が遅延。「ナッツリターン」事件として国内外で大々的に報じられた。趙前副社長は同30日に航空保安法違反などの容疑で逮捕され、今年1月7日に起訴された。

 航空機が天候上の理由や機体トラブルなどで引き返すのは「ランプ(駐機場所)リターン」と呼ばれることから、この事件は「ナッツリターン」とやゆされた。海外メディアは「Nut

 incident(事件)」とも報道。「Nut」には「ナッツ」のほかの「バカげた」の意味もある。<中畑監督ドタバタキャンプアラカルト>

 ◆1年目

 2日目にインフルエンザに感染してリタイア。翌日の練習前、宿舎12階の自室バルコニーから手を振り、回復ぶりをアピール。部屋の窓越しに練習をチェックするなど、4日間の隔離生活後、第2クール初日に復帰した。

 ◆2年目

 2日目のウオーミングアップ中、長女・恵さんに長男誕生の一報。「ニコニコの2月2日に生まれてくれればね」と楽しみにしていただけに満面の笑み。初日は元気のなさから「0点」をつけたが、「今日は120点。元気があった」と大はしゃぎ。

 ◆3年目

 現役時代には縁のなかったサングラスを今キャンプから使用予定だったが、年末の大掃除で行方不明に。紛失したサングラスと同じ物が初日に届けられるも、「みんなの反応が良くなくて」とわずか1日で封印した。