力まなかった。ロッテのドラフト2位、田中英祐投手(22=京大)が3日、今キャンプ2度目のブルペンに入った。前回1日は力み過ぎて投げ終わりに頭がぶれて、帽子が7度落ちた。この日はバランス良く投げることを意識。直球のみ81球を投げ、帽子は1度も落ちなかった。自己採点は前回より10点増え60点。着実に、前進した。

 工夫は、最初から明らかだった。田中は初めて組む田村を相手に立ち投げから始めたが、まずは「(今年)初めて」のセットポジションを選んだ。10球後に、いつものノーワインドアップで6球。ここで田村に座ってもらったが、再びセットで4球。その後ノーワインドアップに戻し61球。全て直球で計81球投じた。

 「今日はバランス良く、力を抜いて投げました」と意図を明かした。セットから投げ始めたのは、力まずにバランス良く投げる意識を確認するため。かいはあった。前回あった抜け球はわずかで、全体的に低めに集まった。帽子は1度も落ちなかった。前回登板後、55~56センチから53~54センチにサイズを縮めたとはいえ、投げ終わりに軸がぶれて頭が大きく回る場面も減った。

 静から動へのメリハリは0コンマ何秒の差に表れた。「リリースで力を入れるのが一番大事」と意識。左足を上げ、捕手方向に踏み出して着地するまでの時間を計測すると、多くが2秒以上、長い時は2秒6もあった。前回は1秒7~2秒1が大半。投げ急がず、股関節に乗せた体重を前に移動させた。「やりたい投球ができた。自分が見えていたかなと思う」と納得。前回の計51球より30球増えても「今日の方が楽」。力みが消えた成果だ。

 伊東監督は「前より安定感があった。自分で考えながらやっている。修正が利くのかな。実戦タイプ」と評価を上げた。「これを続けていきたい」と言った田中の自己採点は、前回の50点から増えて60点。ルーキーが反省点を自ら顧みた。その結果のプラス10点だった。【古川真弥】