85年日本一のクリーンアップ再現や!

 阪神掛布雅之DC(59)が3日、沖縄・宜野座キャンプで鳥谷敬内野手(33)に長打力アップのヒントを授けた。バットのヘッドを返し、遠心力も利用する打法に鳥谷も手ごたえ。昨季同様に4番ゴメス、5番マートンとクリーンアップを組めば、合計60本塁打以上も可能な猛打トリオも夢じゃない。

 ランチ後の打撃練習を始める前だった。ティー打撃に向かう鳥谷が掛布DCと笑顔で話し始める。実は、さりげなく飛距離アップのヒントを授けていた。

 すさまじい即効性だった。直後のフリー打撃。鳥谷が痛烈な弾道で右翼フェンスを軽々と越す。112スイングで12発のオーバーフェンスは、いずれも右方向に引っ張った打球だ。しかも、高々と舞う放物線ではなく、角度十分のライナー。昨季、打率3割1分3厘のヒットマンがド迫力の変わり身を示した。

 掛布DCが“魔法”の言葉の中身を明かす。「ヘッドをボールに引っ掛けるというか、強い打球を意識して打てばどうだ、ということ。『うまい鳥谷』というより『強い鳥谷』だな」。インパクトの瞬間にバットのヘッドを返し、遠心力を活用。より強くたたき、鋭い打球を飛ばすという考えだ。効果を実感したのか、鳥谷は「いい感じなので続けてみます」と話したという。巧打から豪打にスケールアップすれば打線の破壊力は増すだろう。

 「(鳥谷が)20本くらいホームランを打てば、打線の迫力も変わってくる。鳥谷くらいの技術があれば、そういう打撃にトライしても打撃が崩れることはない。僕より体が強い。金本と、同じくらいの強さを持っている。金本くらいの数字を出しても、おかしくない」

 自己最高は09年の20発。長打が増えれば、昨季26発のゴメス、13年に19発を放ったマートンと組むクリーンアップは格段に脅威を増す。85年のバース、掛布、岡田の最強主軸再現の夢も広がる。

 掛布DCも「去年と同じクリーンアップなら3人で60発。他の球場で、もっと増えると思う。甲子園で本塁打が少なくとも、他の球場で空中戦に負けない打線になる」と構想する。

 優れた選球眼も鳥谷の飛躍を後押しする。掛布DCは「四球を選べるから(1球で)仕留めることができる。王さんも言っていた。『打てる球を待つ我慢。それを仕留めるのも技術』」と明かす。一撃必殺の素質も持つ。逆方向に打つ技術もあり、打率が下がるリスクも少ないという。昨季8発の鳥谷が本塁打を量産すれば攻撃力は激変する。希望を抱かせる背番号1の弾道だった。【酒井俊作】