ソフトバンク内川聖一外野手(32)が、炎の猛スイングだ!

 フリー打撃、マシン打撃、ロングティー、特打、おかわり特打と振りまくり、1日8時間半の猛練習を敢行した。若手顔負けの「熱男」ぶりを見せつけた。今季、本塁打王を狙う男のスイングスピードは昨年よりも加速中。李大浩との4番争いは、第2クールで早くもヒートアップしてきた。

 今年33歳を迎える内川が、若手のようにバットを振り続けた。ティー打撃を20分、フリー打撃で嘉弥真とマシン相手に計20分、さらに室内練習場に場所を変えて20分、マシンに向き合った。ここまでは通常のメニュー。ここから濃密な個人特訓が始まった。

 まずはロングティーで柵越え82本。続いて特打でも99スイング中で7本の柵越えを放った。それでも打ち足らない。フォームを微修正するため特打を“おかわり”。49スイング中3本の柵越えを放った。沈む夕日を浴びながら、個別メニューだけで80分間、バットを振りまくり。球場を後にしたのは午後6時半だった。

 「動けるから動きたくなってしまう。(フリー打撃も)思ったより良かった。今はバットを振ることが大切。今やっていることがいい方向に進んでいると思いたい」

 1月下旬に鳥取のトレーニング研究施設「ワールドウィング」を訪れ、初動負荷トレーニングを実戦。骨盤を立たせ背筋を伸ばす新フォームへと微調整したことで、スイングスピードが上がった。特にロングティーでは、正確に打球をとらえ、ボールは約7割の確率でスタンドイン。8年連続打率3割、そして自身初の本塁打王を目指す男のスイングは、さらに進化していた。

 「柳田のように力のある選手は打ち損じでも本塁打になるけど、俺はまやかしの力しかないから力で持っていくことは無理。それをどうするか。スピンをかけるために、ボールに対してどうバットを入れればいいか。去年よりもバットにボールを長くくっつけることを意識している」

 内川のスイングを見た王球団会長も「打球が強くなっているし、速くなっている」と進化を認める。今季、本塁打王を新たな目標に掲げていることについても「その意気込みがいいね。彼は飛ばす力がある。外国人選手にチャレンジしてもらいたい。頑張ってほしいね」とエールを送った。

 昨季全試合で4番を務めた李大浩は、今キャンプではマイペース調整を続ける。対照的に、アグレッシブに動く内川。主砲の座を巡る戦いが楽しみになってきた。【福岡吉央】